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日本を戦争をする国にさせないために

  全日赤中央執行委員長 太田千枝子
日赤労働者728号



明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。

 今日、私たちは大きな岐路に立っています。
 第2次世界大戦の悲惨な体験と侵略戦争の反省から生み出された平和憲法が制定されて六〇年近くになろうとしています。その間アジアでおきた戦争、朝鮮戦争やベトナム戦争に、日本は憲法をまもり、軍隊を出していません。私の青春時代のベトナム戦争反対の数々の行動を思い出しますが、この半世紀をこえた月日、日本の軍隊が他国の人々を殺す、または日本人が他国の軍隊によって殺されるということはなかったのです。まさに、憲法九条を守ろうとする国民の力が功を奏してきました。
 昨年、有事法制が成立し、続いて成立したイラク特措法によって自衛隊がイラクへいくことが強行されようとしています。つまり、武力によって他国を侵略しないと決めた憲法の平和主義を踏みにじり、アメリカの起こした大儀なきイラクへの侵略戦争に加担してゆくことになるのです。「戦争をする普通の国」への入り口にたっていると言えます。
 有事法制が通り、イラク特措法が成立し、自衛隊がイラクに派兵されると決まり、私たちのなかには「あんなに反対したのに成立してしまった」という強い落胆があります。そして、小泉政権は憲法を改悪し、一気に軍事大国化に向け突っ走ろうとしているかに見えます。しかし、戦争に突入するときに国民を戦争に協力させるために必要な「国民保護法制」は、今年の国会にかかるのであり、もしこれが通らなければ、有事法制は発動できないのです。また、憲法改悪には、国会議員の三分の二の賛成が必要であり、国民投票で、国民の多数の賛成が必要です。多くの国会議員が憲法改正に賛成していますし、民主党も憲法改正を言っていますが、なぜ「創憲」などと言うか、公明党も「加憲」などと訳のわからないことを言うか、それは憲法九条を多くの国民が支持をしていることを知っており、おそれているからではないでしょうか。今年こそ、国民保護法制定阻止の運動をくりひろげ、憲法改悪阻止にたちあがりましょう。
 日本赤十字社は有事法制で「指定公共機関」となっています。再び日赤の看護師たちが、戦争に従軍させられることのないように、たたかいの先頭にたつ決意を新たにしたいと思います。
 日赤本社は「処遇の一体性」を口実にして、全面的な労働条件改悪の攻撃をかけてきています。賃金の引き下げに止まらず、賃金協定第三五の改定提案、休日出勤手当の削減、人事考課・職能給賃金導入、委託・派遣・請負の導入など、次々と改悪を提案し、ともすれば法を無視したやり方で強引に施設を指導しています。施設長の裁量権を奪い、どんなことでも本社に報告させています。施設長の手足に枷をかけ、単組の交渉権を侵害するやり方は、その組織のやる気そのものを失わせ、衰退に繋がってゆくのではないでしょうか。
 全日赤は、先輩の方々が築いてくれたたたかう伝統を大事にしながら、国民の医療や看護を改悪させないために、春から頑張っていきたいと思います。全国のみなさんには、たたかう仲間を増やすことをお願いし、新年の挨拶といたします。





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