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日赤労働者732号



 イラクの人質事件に関して、政府やマスコミが「自業自得」「謝罪しろ」等、三人をまるで加害者のように非難した。「自己責任」を無責任に使うことは政府の責任を覆い隠す。危険なイラクに勝手に行ったと言うなら、イラクをここまで危険な状態に陥れた責任は誰にあるのか▼三人を診察した医師の言葉が重い。「彼らの急性ストレス障害(ASD)が今後PTSD(心的外傷後ストレス障害)に移行するとしたら日本の(報道の)責任」▼自衛隊派兵の撤退を求めた家族の言動を非難することも「お上のやることに逆らうな」と言わんばかりである。国の政策に従わない人は殺されてもいいのか。この国では人々が自由に物を言えない体制になりつつある▼フランスの寓話『茶色の朝』。ある日、茶色い犬しか飼ってはいけないとした法律に疑問を持ちながら、主人公は愛犬を安楽死させた。この政策を批判した新聞社が弾圧されたが主人公は深く考えない。「茶色に守られた安心、それも悪くない」▼ついに過去に動物を飼っていた者全てが取り締まりの対象となる。主人公はもっと早く気付くべきだったと嘆く。茶色はファシズムの象徴。国が決めた茶色の政策に従わない者は社会から排除される。日本が茶色に染まり戦争へと突き進むようなことにはしたくない。




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