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日赤本社が又も賃金協定破棄を通告
全日赤、中労委にあっせん申請

日赤労働者734号



要請を受ける本社人事部長

 これまでの経過

 二〇〇四年春闘要求での賃上げ要求の実現を目指して、全日赤は日赤本社との交渉を重ねてきましたが、本社は職場の労働実態や賃下げによる職員の生活実態を全く顧みず、「世間並みの賃金にする必要がある」を繰り返していました。挙げ句の果てには五月二〇日の団交で、昨年と同様「人事院勧告に準拠することを協定化せよ」「出来なければ協定破棄だ」として六月一五日までに全日赤に返答を迫ってきました。
 全日赤は「自らの賃金決定を人事院に委ねるような『団体交渉権の放棄』は労働組合としてできることではない。本社は協定破棄をせずに賃金交渉に誠意をもって行うように」と要求し本社の態度は認められないと表明し、六月四日に本社要請行動を展開しました。

全てを破棄通告

 本社はこうした要求を無視し、六月一六日付けで「協定の廃止について(通知)」を送付してきました。破棄する内容は、昨年協定したばかりの(1)二〇〇三年九月一二日付の賃金改定の協定と(2)二〇〇一年一一月一三日付の賃金改定の協定、(3)昭和四〇年の給与要綱の一部改正の三協定・要綱を破棄する通告となっていますが、(1)の協定では、昨年に破棄された協定を回復措置として再協定したものであり、その部分(昨年の破棄通告)も含まれる内容となっています。
 昨年の破棄通告では、本俸だけでなく人事院が勧告すると思われる手当を全て予想で破棄してきました。
 今回は再度全ての手当について破棄するというもので、加えて(2)の二〇〇一年協定で調整手当の名称変更に係る部分を破棄することで、全ての調整手当が無協定状態にされます。また寒冷地手当については、昨年の破棄通告にも含まれていましたが、額を定めた別表の改定を破棄したのにすぎなかったものを、(3)昭和四〇年の要綱を廃止することで「寒冷地手当」の支給そのものを無くすことを狙った内容になっています。

労働者を無権利状態にする本社の暴挙は許さない

 協定破棄通告後九〇日が経てば自動的に協定・要綱の効力は失われ、労働者は無権利状態となります。労働組合法の趣旨は「九〇日後に無協定状態とならないように、その間に労使で新たな協定づくりに向けて努力する」となっています。本社は交渉は行うとしながらも、協定廃止後の新たな協定案を提示していません。「人勧準拠方針」の押付けしか回答せず、賃金改定の額を示しての交渉をしないということは不誠実団交であり、不当労働行為に他なりません。
 労働組合が本社の提案を認めないからという理由で協定破棄を行うということは暴挙としかいいようがなく、昨年も中労委から「無協定状態とならないよう」にと見解がだされたばかりです。全日赤はこの度重なる暴挙を許さず、協定破棄の撤回および誠実な団体交渉を求めて六月一八日に中労委へあっせん申請を行いました。

 <あっせん事項>
(1)協定破棄(六・一六通告)を撤回すること
(2)賃金決定の白紙委任を迫る人事院勧告準拠の押しつけをやめ誠実に団体交渉を開き、賃上げ要求に基づく自主回答・自主決着をおこなうこと

 全日赤は右記のあっせん事項を求めて作業を行うとともに、各単組から本社に対して抗議FAXに取り組むよう全国規模での運動を呼びかけています。

 




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