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違法当直是正で増員
厚労省通達、労基署活用し一部勤務態勢へ
高知単組

日赤労働者735号



 日赤病院においても、検査部門や放射線部門で救急体制充実にあわせて当直体制をとる施設が増えてきています。これは労基法違反ですが、日赤本社自身が違法当直を処務規定準則で明示しており、各施設も確信犯的に検査等に当直体制を敷くという実態にありました。
 全日赤は二〇〇二年春闘で、日赤本社が副社長通知で出している「処務規定準則」(平成二年三月二三日総務第三七号)で、各施設に違法当直を指示していた件について、団体交渉で追及し二〇〇三年二月二六日付で、適法に改めさせました。
 しかし、違法当直をやめさせて勤務に切り替えることについて、職場では増員が必要なことや当直手当がなくなるなど、各職場で意思統一が十分できていないのが現状です。医療を守る立場から救急体制の充実と併せて勤務態勢を検討する必要があり、全日赤本部は、各単組に違法当直をやめさせるためにどうするか、増員や手当の要求はどうするか、早急に職場討議をおこなうことを呼びかけているところです。
 その中で、高知単組は労働基準監督署も活用しながらたたかい、増員による一部勤務態勢への切り替えをかちとりました。

仮眠とれずふらつきながら仕事

 高知日赤の検査室の当直実態は、日勤業務に引き続いて通常業務同様の当直をおこなっているのであり、深夜帯も数十分から一時間ごとに起こされてふらつきながらの緊急検査業務をこなし、睡眠をとれないことも多かったのです。さらに、翌日の半日を勤務する二八時間連続勤務という医療事故やミスがいつ起きてもおかしくない状態にありました。そういう状態に対し、労働組合はこれまで、労働条件の改善の一環として当直料の引き上げや、時間外手当の改善、翌日朝からの当直あけを取得させるよう要求してきました。
 このとき二〇〇二年三月一九日に出された厚労省通達は「病院経営者が自主的に当直実態を調査し違法当直を交替制勤務等に改善するか、改善できなければ許可を取り消すか、の選択を迫ったもの」であると組合はとらえ、従来の当直実態の「部分的改善」要求から「根本的改善」要求に切り替えました。そして当直実態を資料にまとめて提示し県労働基準監督署交渉をおこない、厚労省通達内容で高知日赤への調査ならびに改善指導を求めました。

労基署、病院を再三追及し

 厚労省通達に対し病院は、医師、事務職、看護師については勤務態勢の変更や守衛の配置増による当直業務変更を図りましたが、もともと当直が認められていない検査等は調査対象に入っていなかったため、改善検討は放置されたままでした。
 再三にわたる交渉で組合は、人員増で交替制勤務への転換を図るか、あるいはそれに変わる改善内容を早期に示すよう追及し、また現状での当直業務で生じた医療事故は病院の責任であることも確認させました。
 病院は当初、人員増を伴う改善は困難だとしてきましたが、組合の再三の追及を受けた労働基準監督署からの改善指導もあり、当該職種の人員増による改善を図ることになり、検査補充1名、増員1名、放射線補充1名、増員2名、薬剤部増員2名ということになりました。
 しかし現状では、交替制勤務への変更は経費の面など困難を伴い、部分的改善にとどまっている。改善後は、日勤終了後一七:一〇〜二:〇〇を1勤務とし、二:〇〇〜八:三〇までの六時間半を当直扱いとし、八:三〇以降を代休とするものとなりました。病院側は当直時間が六時間半と従来の半分以下になったため、当直料の削減を当然だと主張しましたが、組合が当直実態から強く反対し、削減主張は撤回させました。また、日直については勤務日の振替として位置づけられ、振替休日を与えて休日出勤手当を支給せず当直料がなくなり、その面では賃金ダウンとなりました。
 しかし、日赤本社が人件費をはじめ経費節減を厳しく指導しているという状況のなかで、2名補充と5名増員をかちとり、当直あけを朝から代休とさせ、日直分の代休が日曜日の半日代休だけであったものを、すべての休日(日曜、祝祭日、年末年始、創立記念日等)で1日確保できるようになったことは、大きな改善であると評価しています。

 




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