JRCSWU

なくそう!  不払い残業
「全国一斉退勤時間調査」に二四単組が取り組む
十月十二〜二十二日

日赤労働者739号



 残業したのに残業代が払われない、サービス残業(ただ働き)の是正が全国ですすんでいます。厚生労働省の発表によると、〇三年度のサービス残業代は二三九億円(一一八四企業十九万人)にのぼっています。
 この背景には、多くの市民・労働組合のたたかいによって、過労死や過労自殺につながる「過重労働」「長時間労働」「サービス残業をなくすための労働時間管理」「労働者の心と身体の健康管理」などここ二、三年間でたくさんの通達・指針が出され、時間外労働に関する指導が強化されてきた、という経過があります。
 しかしこれらの是正は氷山の一角であり、医療職場では欠員補充が十分行われないまま、職員はこなしきれない仕事と責任を負わされています。いのちよりも利益が最優先という病院経営がまかり通り、目標管理などで職員は際限のない競争に駆り立てられています。結果、心身共に追い込まれて職場を去っていく仲間があとをたちません。人員不足は膨大な時間外労働を生みだし、そこで働く人の心と身体をさらにむしばんでいきます。
 他産業と比較して医療職場でのサービス残業は放置され、横行しているのが実状です。医療職場の「働くルール」違反をどう改善させるか、という問題は私たち労働者にとって切実な要求であるとともに、患者さんのいのちと健康をどう守るのか、という問題でもあるのです。

「一時間では時間外は書かない」
聞き取りでわかった職員の深刻な労働実態

 この秋、全日赤は職場の働くルールを改善させて全国からただ働きをなくそうと、日本医労連の提起に応えて「全国一斉退勤時間調査」に取り組みました。その中での特徴の一つは、深刻な長時間労働の実態が明らかになったことです。
 長野では、仕事を早く終わらせようと九割の職員が始業前から働いているにも関わらず、半数近くの人が一時間以上の残業をし、そのうち二九人が二時間以上という結果が出ました。単組では早速「速報」で宣伝しています。他には※看護師の多くが時間外労働について「一時間では報告用紙には書かない。二時間にならないと書かない」と回答(医療C)※「仕事の準備で早く来ているのに、看護師長は勝手に来ていると言う」(北見)※「定時に帰れるなんてめったにない。残業で疲れ果てている」(大津)※「忙しすぎて自分のしたことを振り返る余裕もない、何とか終えて家に帰っても、やり残したことやミスはなかったか気になり、心休まる時がない」(高松)、などなどとなっています。
 皆さんもご存知の通り、労働者に時間外労働をさせながら時間外手当を支払わないのは犯罪行為です。秋年末闘争では、この調査結果をもとに時間外労働について施設側に要求・交渉し、経営者としても不払い残業をなくすよう取り組みを求めていきましょう。

やり始めたら止められない
―退勤調査で組織拡大

 退勤調査の第二の特徴は組織拡大です。この間「組合員が増えた!」という喜びの報告が続々(!)と寄せられています。一〇月二二日現在、七単組で二八名の加入者を迎えています。ある単組役員は、退勤調査に取り組んで「調査はやり始めたら止められない(やめるわけにはいかない)」とうれしい悲鳴をあげています。
 取り組めば取り組んだだけ、いえいえそれ以上の成果があることがわかった「退勤時間調査」ですが、今回の結果は全日赤本部、医労連でそれぞれ集計され、一一月一八日の政府・厚労省交渉で活用される予定です。
 今後は第二ゾーンとして一一月一五日(月)〜一九日(金)もありますので、すべての単組で退勤調査に取り組んで行けるようにしましょう。




過去の記事 目次へ戻る