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春闘50年目の今年、憲法九条を守る運動を呼びかけます

  全日赤中央執行委員長 太田千枝子
日赤労働者741号



新年、明けましておめでとうございます

 昨年一一月、イラクのファルージャで米軍は無差別攻撃をおこないました。ファルージャでおきたことは、血も凍るような残虐なことでした。総合病院を占拠し、死者がでても重軽傷者がでても、情報が外にでないようにして、その上、診療所を空爆で破壊し、医師や看護師のみならず、患者さんも殺したのです。その様子はイラクの赤十字である赤新月社によって明らかにされつつありますが、死者は六千人以上だと言われています。
  一昨年三月から始まったイラクへのアメリカの侵攻により、一〇万人以上が亡くなっています。その死に方は、銃弾に倒れる人より、クラスター爆弾などの破片で傷つき出血でじわじわ死んでいく人が多いと聞きました。小泉首相は、自衛隊をイラクへ派遣したのは、人道復興支援だといいますが、人道を言うのなら、一般市民がこんなに殺されている事実を知って、アメリカに対して「こんな無茶なことをするな」となぜ言えないのでしょうか。
 昨年六月、井上ひさし、梅原猛、大江健三郎ら九氏の呼びかけにより「九条の会」が発足しました。四千万人とも五千万人とも言われる犠牲者を生んだ第二次世界大戦の痛苦の体験から、人類は武力で国際紛争を解決することを止めようという叡智(えいち)を導きだしました。その叡智の実現が憲法九条です。しかし、憲法制定から半世紀を経たいま、憲法を「改正」しようという動きが台頭してきています。「九条の会」は、日本をアメリカに従って「戦争する国」にかえてしまおうとする危険な動きに対して、「それは世界の歴史の流れに逆行することなんだよ、憲法九条を守ろう」と呼びかけています。その「九条の会」があちこちに広がって、国民の過半数の署名を集める運動に発展しています。
 日本赤十字社は、一昨年の有事法制でも昨年の国民保護法でも指定公共機関としての役割を負わされました。すでに都内で実施された、化学兵器を使った同時多発テロが発生したという想定の図上訓練に、他の指定公共機関とともに参加しています。憲法九条が変えられて、集団的自衛権を認める憲法になってしまったら、私たちは救護班の一員として、戦場へ赴くことになってしまいます。そんなことはなんとしてもくいとめたいというのが私の新年の決意であり、そのための運動を呼びかけたいと思います。
 民間全国組合の仲間である社会保険病院や労災病院の経営側は、なにがなんでも賃金の定期昇給を止めたい、成果主義賃金を導入したいという目的で、昨年の暮れに協定破棄という暴挙にでました。両組合とも、それに対してストライキを含めたたたかいをはじめていますが、支援行動を強めながら、私たちも春闘をたたかう準備を始めたいと考えています。
 秋年末で取り組んだ「退勤時間調査」が組合の姿が見えたと好評であり、その行動を通じて組合員が増えるという成果もあがりました。今年は春闘が始まって五〇年という節目の年です。私たちのめざす、安全で安心の医療・看護を実現するためにも、全日赤に団結して、仲間を増やし、一歩踏み出すことをこころから呼びかけて、新年の挨拶とします。





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