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05春闘
憲法を職場とくらしに活かし、人間らしい働き方をするために
仲間を増やして春闘をたたかおう!

日赤労働者742号



たたかって情勢を切り開こう

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Ⅰ.平和をめぐる情勢
 アメリカがイラク攻撃を始めてから二年近くになり、破壊と暴力が続くなか小泉首相は世界の流れに逆行し自衛隊の駐留延長を決めました。また閣議決定した防衛計画の中には「国際平和協力活動」を盛り込み、アメリカのおこす戦争に自衛隊が参加できるように理由付けしています。そして憲法を改悪し日本を再び戦争をする国へと変えようと狙っています。しかし、国民の多数は憲法九条を変えることには反対しており、「九条の会」など立ち上がる国民も増えています。憲法改悪を許さない運動を一気に広げ平和憲法を守りましょう。

Ⅱ.労働者・国民を取巻く情勢
 戦争への道を突き進むなか一方では、国民にさらなる負担を押付けようとしています。所得税や住民税の定率減税の縮減・廃止など今後二年間で七兆円もの負担増が国民に押しつけらようとしています。介護保険の見直しでも、保険料徴収対象の拡大や利用料の引き上げなど負担増が画策されており、医療費や年金の負担増につづき、あらたな負担に反対するたたかいは春闘の重要課題です。
 労働者の年間収入は、公務・民間を問わず減少し続け、パート賃金も低下しています。また完全失業率は五%(三〇〇万人)で高止まりし、非正規雇用労働者は三〇%(一五〇〇万人)に達しています。その一方で、トヨタ自動車の一兆一六二〇億円に代表されるように大企業は軒並み過去最高利益をあげ、内部留保をため込んでいます。大企業優遇税制の是正や大幅賃上げなど企業の「社会的責任」を追及しなければなりません。

Ⅲ.医療をめぐる情勢
 小泉内閣の「医療・社会保障構造改革」では、医療費への国庫負担を削減するとともに医療に「市場原理」を導入し利潤追求の場にしようとしています。国公立・公的病院の統廃合の促進、自治体の福祉施設に対する「指定管理者制度」の適用は、株式会社参入につながるものです。また「混合診療」の解禁や特定療養費の拡大は、「金持ちだけが良い医療を受けられる」仕組みにつながり決して許せるものではありません。患者・国民の負担増は受診抑制つながり、国民の健康破壊をもたらしています。私たちは憲法二五条の生存権に基づき国民皆保険制度および公的医療の拡充を追及しなければなりません。

Ⅳ.日赤本社と施設の動向、 私たちの職場
 日本赤十字社は、一九九五年に「運営戦略」を打ちだして以来、生き残り政策を推し進め、政府の医療締め付け政策のなかにあっても黒字経営に転化する施設も出ています。人件費削減の為の人減らし「合理化」が推し進められるなか、現場では下請化や嘱託・パート職員の増加とともに長時間労働を強いられています。取り分け病棟を初めとして二交替制(長時間夜勤)導入の動きが強められています。そうした状況であっても医療事故を起こさないよう懸命に働いている職員に対して「個人責任」の追及や不払いサービス残業が後をたたずに、メンタルヘルスが悪化している職員も職種を問わず増えています。
 その上、成果主義賃金につながる勤務評定の導入が推し進められており、それを許せばチームワークは壊され、職場は殺伐として退職者が相次ぎ、医療事故が起きかねない状況になることが予測されます。絶対に導入させてはなりません。

Ⅴ.情勢を打開し、 運動と要求の実現を
 ILO(国際労働機関)は二一世紀の目標として、「ディーセント・ワーク」(人間らしい仕事)を掲げました。「人間らしい尊厳ある働き方」は今や世界の流れです。国内でも厚労省がサービス残業根絶に向けた通達を出してから三年半の間に、ただ働き是正が前進し、企業に払わせた時間外手当は四四七億円になると言われています。
 成果主義賃金に関しても、導入した企業が見直しを行ない始めており、いちはやく導入した富士通では「評価は公正におこなわれず、職場には嫉妬と不満がうずまき、みんながくさり、職場のやる気は失われた」と元人事担当者が「内側からみた富士通・成果主義の崩壊」という本で告発しています。
 下請け化にしても、国家公務員共済組合のある病院の検査室では導入していたブランチを直営に戻させました。院長は「ブランチは件数をこなさないとコストがでない。日常の検査は院内でやるべき。アウトソーシングの見直しを考えている」と述べています。深谷日赤の検査室もFMSを直営に戻しています。
 改憲策動や成果主義賃金など厳しい情勢にありますが、たたかえば必ず情勢は切り開かれます。今年は春闘が始まって五〇年目の節目の年にあたり、組織拡大強化と共に全力投球で春闘をたたかいぬきましょう。


組織拡大緊急アピール(抜粋)
「仲間を増やして春闘の準備を」

 全日赤の現在の組織数は7,800名、最高時の8,500名からみれば、かなり落ち込んでいます。なんとしても挽回したいという思いで、全国のみなさんに訴えます。それに付け加え、3月になれば300名を越える組合員の退職者が見込まれ、組織数があっという間に減少してゆくのは目に見えています。4月の新人を迎えるのを待つのではなく、今ここで仲間を増やしてほしいのです。
 昨年の秋に取り組んだ退勤時間調査は、組合の姿が見えたと好評でした。調査に応じてくれた職場の仲間も大勢いました。時間外の課題は、みんなの大きな関心事だからです。そしてその中で組合に加入することを決意してくれた方も多数いたのです。私たちが、日頃から働きやすい職場のために頑張っていること、病院経営にたいしてチェック機能を発揮していること、悩んでいる職員の相談にのっていること、そしてなにより、安全・安心の医療や看護、血液事業、施設利用者のために筋を通した活動をしていることは、病院・血液センター・福祉職場のみなさんにはよく知られていると思います。自信をもって組合加入を訴えましょう。年の初めに、組織拡大に一歩踏み出すことを心から訴えて、中央執行委員会からの緊急アピールとします。

2005年新春            
中央執行委員長 太田 千枝子

 




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