JRCSWU

中国の紅十字病院を訪問
全労連の中華全国総工会との交流に参加 太田 千枝子

日赤労働者742号



写真

紫禁城の前で参加者全員

 全労連は中華全国総工会との相互交流を二〇〇〇年から開始していますが、昨年一〇月二九日〜一一月五日にかけて、西川征矢副議長を団長とする五名の代表団を派遣しました。私はその一員として参加し、大連市、北京市、青海省を訪問、特に青海省の西寧市では、紅十字病院を訪問し、同じ赤十字の仲間として交流を深めました。

写真

抗日戦争記念館

 中華全国総工会は現在、組合員一億四二〇〇万人を組織している中国の労働組合の全国センターで、組合員のうち三五〇〇万人は国営企業で働き、九〇〇〇万人以上は非国営企業の労働者で、様々な問題をかかえているということであり、総工会の取り組まなければならない課題も多いとききました。失業者を助けるための、再就職支援活動は政府が責任をもち、総工会が協力する立場で取り組み、困難労働者を助けるための「救済センター」を全国三九七〇カ所で設立し援助しているということでした。また、農民一億人が都市部に流入してきており、住宅や教育問題をかかえているため、農民の組織化をめざすことを大会で決定したそうです。

 私は、中国を訪問したのははじめてでしたが、その発展と全体から受けるエネルギーは大変なものだと感じました。特に北京は高いビルが建ち並び、車の多さにもびっくりしました。四年後の北京オリンピックの開催もあり、胡同(フートン)と呼ばれる、いかにも中国らしい古い町並みはどんどん壊されて、広い道路が敷かれていました。私たちは、中国の人々の普通のくらしも味わいたく、大連でも北京でも朝早くホテルの周辺を散歩しました。広い道路の一角に市場がたち、野菜、米、肉などあらゆる食料品が売られ、大勢の人々が集まり、そのにぎやかさは、「ああこれが中国よねえ」という感じでした。もう冬なのに、スイカやめずらしい果物も多く、中国の広さを食べ物からも感じました。

写真

旅順総工会

 大連の近くの旅順をおとずれ、二〇三高地などの日露戦争の戦跡を見学、北京では日中戦争の勃発の地である慮溝橋を訪れ、抗日戦争記念館も見学しました。記念館には日本軍がおこなった数々の残虐行為の写真とともに、生体解剖の蝋人形もあり、そこに従軍看護婦も立ち会ったということで、背筋が寒くなりました。総工会との公式会談では、北東アジアと世界の平和をどう実現してゆくかも話し合われ、再び歴史の過ちを繰り返さないために、友好・連帯を深めたいと確認しあったわけですが、記念館では平和への思いをあつくしました。

写真

団地の掲示板、公的役員の顔写真が掲載

 西寧市の紅十字病院では玄関に熱烈歓迎の横断幕が張られ、院長を先頭に病院幹部と組合役員、その他職員が大勢出迎えてくれました。院長から、病院の沿革について説明をうけ、青海省の有力病院の一つであり、遊牧民、貧困層、高齢者には無料で医療を提供しているということでした。日本やフランス製の高度な医療機器もそなえられていました。
 大連市では日系の有力企業であるキャノンを見学、また青海省では国営企業の電力会社を見学しましたが、どこでも労働組合に女性幹部が活躍しており、男女同権が徹底していると感じました。青海省は草原の国ですが、時期的に緑はなく茶色一色のなかを青海胡に向かって、バスが走ってゆくと、突然バスが止まり、その地域の労働組合の幹部が迎えてくれるのですが、幹部は女性なのです。肝っ玉母さん風だったり、若く美しい人だったりしますが、本当にたくましく、しなやかでした。中国には「天は男と女で支えている」という言葉があるそうですが、あらゆるところでそれを感じました。日本での女性の権利や働き方の改善に、もっと力をいれねばという思いも強く感じた中国訪問でした。




過去の記事 目次へ戻る