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第百六十二通常国会開幕
改憲国会にさせないたたかいを

日赤労働者743号



 一月二十一日、第百六十二通常国会が始まりました。今国会の焦点の一つは、憲法改正に必要な手続きである国民投票を規定する新法の制定問題です。与党はすでに、国民投票の有権者資格を二十歳以上とする法案骨子を合意しており、自民党は今国会での成立を目指しています。

国民投票法と国会法改正
 日本国憲法第九十六条は、改憲について衆参両院の総議員の三分の二以上の賛成で「憲法改正案」を発議、その改正案を国民投票にかけて過半数の賛成が必要、と二重の要件を設けています。それ以上の具体的な規定はなく、どのような手続きで改憲を行うか手続き法が必要なのです。その第一段階に対応するのが、国会法「改正」であり、その次の第二段階の国民投票に対応するのが、『国民投票法案』なのです。
 これら法案が成立するか否かは、いわば憲法「改正」の前哨戦になりますが、現在聞こえてくる話では、国民投票の結果にも影響する重大な問題を含んでいます。

憲法改正手続法の問題点
国民の意思を正しく 反映させない策動が
・内閣も改憲の発議ができる。参議院が否決しても衆議院のみで通過できる
・改憲案を示すのは「官報」と「公報」のみ。国民投票は発議から六〇日〜九〇日以内
・マスコミによる論評は禁止。一方でマスコミに憲法改正の広告を記載させる行為は規制の対象にならない
・「九条廃棄」と「環境権」を一括発議にして、投票は○×式。有効投票の過半数でOK。(投票率五〇%なら実質有権者の二五%の賛成でOK)
・公務員(ex国公立大学教授・公立学校の教員)の運動は実質禁止。国民投票妨害罪を制定(反対運動者は逮捕)。投票の効力に対する意義申し立ては三〇日以内。
 とりわけ、分離発議(条文ごとの提案)か、一括発議にするかは大問題です。考えられるのは、「新しい人権」として、「プライバシー権」や「環境権」を盛り込んで提案してくることです。つまり、焦点は明らかに九条の改定にありながら、国民を憲法「改正」世論に巻き込むために、抱き合わせにして一括して賛否を問う、というケースです。
 事態はここまで進んでいます。アメリカの押しつけ改憲によって、自衛隊が海外で武力行使できるようにするのか。その場合、私たち日赤労働者は戦争に駆り出されることになります。それとも、憲法九条をはじめ、日本国憲法をいっそう現実に近づける努力をするのか、私たちは今重大な岐路に立っているのです。




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