JRCSWU

夜勤ストに立ち上がり
二交替導入を阻止
伊達単組

日赤労働者744号



 「精神科病棟二交替制試行実施について二月一五日付をもって当面は白紙とする」(伊達赤十字病院院長…)――伊達で昨年十一月からたたかわれてきた二交替強行阻止のたたかいが、労働者側全面勝利で終結しました。

二日間でスト権確立

写真 昨年十一月一日精神科病棟へ二交替制導入が提案され、十二月二日団交で病院側は組合の追及に対し「強行はしない。大多数の賛同を得て試行に入る」と回答しました。しかし十二月九日の団交では「そんなことは言っていない」と前言をひるがえし、一月十三日団交では二月から試行に入ることを一方通告し「何でも組合と話さなければならないことはない」と強行実施の姿勢を強めました。「労働条件の変更は労使協議しなければならない」と組合が追及すると院長等は「そんな協定は破棄する」と言い捨てて団交会場をあとにするなど、不誠実きわまりない態度に出ました。
  組合は一月一八日、厳しく抗議するとともに、職員の切実な声を受け止めて一月二四日〜二六日までに交渉再開するよう申し入れました。同時に、二月一日強行実施に対してストを打ってでも阻止する決意をかため、緊急に一九日、二〇日の二日間でスト権投票を取組み、圧倒的多数の賛成でスト権を確立。直ちに労働委員会へ争議行為の通知をおこない受理されました。

不誠実団交くり返す病院側

 病院側は二五日、二月一日から一年間二交替制試行に入ることを全職場に通達し、組合に対しては同通達文を同封して二八日団交開催を通知してきました。組合の申し入れた団交日は無視するかたちで、月末の金曜日という試行実施間際に団交設定すること自体不誠実ですが、組合は実施強行をやめさせようと団交に臨みました。
  二八日、当該職場の職員十余名も参加しておこなわれた団交では、病院側は具体的根拠を示すことなく漠然としたメリット論を繰り返すのみでした。そして、長時間夜勤でのリスクをどう解消するのかという労働者の切実な問には「何度も同じことを聞くな」「一度やってみたらいい」などとまともに応えようとせず、時間切れとしてまたもや一方的に団交を打ち切り退席しました。

スト態勢確立、労基署申告、あっせん申請

 団交後、参加者と執行部で対策を検討し、夜勤ストでたたかうことを意思統一。非組合員含めこの日参加していない精神科病棟職員全員に、三〇日までに団交内容とストでたたかうことを伝え了承を得ました。
  組合は三一日朝、「どうしても二交替に変更しなければならない理由」を明らかにすることなど四項目を申し入れ、「本日(三一日)中に誠意ある回答」を求めました。しかし病院側からの回答はなく、翌二月一日朝、組合は深夜帯を指名ストすることを通告。同時に、就業規則変更届出をおこなわずに労働時間を七時間五四分から一五時間四八分に変更したことは労基法第八九条違反であるとして、労基署にたいし直ちに調査、是正指導をおこなうよう申告しました。併せて、道労委に対し誠実団交あっせんを申請しました。

患者に対し無責任きわまりない病院側姿勢 

 スト通告を受けた病院側は、緊急に病棟師長会議を招集し、午前中いっぱいかけて出した(院長指示で看護部長が押しつけた)結論は、ストの深夜帯は師長と係長(他病棟含め)で埋めるという無謀な方策でした。これは、組合が患者の安全のため保安体制をしっかりとって準備していたにもかかわらず、保安要員交渉を全くせずに無謀な方策をとるという、患者に対し医療に対し無責任きわまりない病院側姿勢であり、病院中が唖然としました。組合は無謀なことはせずに安全安心の医療に立ち戻れと直ちに申し入れましたが、院長等病院側は聞く耳を持ちませんでした。

整然とスト決行  

 そして二月二日午前一時、前日一六時より勤務に就いていた組合員二名は、整然とストに突入。この日の深夜は師長指示で非組合員が対応したため、混乱無く引き継ぎがおこなわれました。そしてスト決行中の八時二〇分から折衝再開し、病院側は二交替制を当面断念し三交替に戻すことを表明、継続交渉を申し入れてきました。組合は誠実な交渉を求めてあっせんの場で話し合いを継続することを改めて通告し、誠意ある対応を求めました。

白紙撤回を表明

 病院側は道労委あっせんを嫌いましたが、予定どおり二月三日に道労委の調査がおこなわれました。そして、あっせん日の調整では多忙を理由に病院側は日程先送りを図り、早くても三月三日までは応対出来ないとしました。
  そしてその間にも病院側は、当該病棟の組合員の組合活動に関して、不当に詰問するなどの不当労働行為をはたらき、組合が直ちに抗議・追及するなどと攻防が続きましたが、二月一五日、ついに二交替試行実施の白紙撤回を表明。労働者側全面勝利で精神科病棟への二交替導入阻止のたたかいに終止符が打たれました。

団結と結集、全国からの支援を力に

 この間、全日赤本部は医労連を通じて全国に伊達支援FAX行動を要請し、日赤本社に対して二交替試行を拙速におこなわないよう適正指導を求め、道医労連は北海道内各組合に伊達支援を要請し、全国から数十の支援および抗議FAXが伊達に寄せられました。
  単組がとり組んだアンケートでは、看護職員のほとんど(二一三名)が答えてくれ、反対一六〇名と条件付賛成(現提案では反対)四六名を合わせると九六・七%が反対の意を表し、充分論議の末全員の賛同と結集の元にストを決行するなど、労働者の団結と結集が大きな力となり、全国からの支援と病院追及を力にしてかちとった勝利でした。




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