JRCSWU

2006年春闘で実現しよう
安全・安心のために大幅増員と賃上げを!
勤務評定阻止・働くルール確立で働きがいのある職場を!

日赤労働者756号



 春闘の要求とたたかい方を決定するために、全日赤二〇〇五年度第二回中央委員会が二月十一日(土)から十二日(日)にかけて開催されます。本社が提案している給与構造「改革」の課題を含め、今春闘のたたかい方について書記長に聞きました。

春闘情勢はどうなっていますか?

 政府・財界は、平和憲法を改悪し日本を「戦争をする国」にしようとねらい、「小さな政府」を改革の焦点であるかのように宣伝して、医療・介護・福祉など社会保障の切捨てと消費税・サラリーマン増税など国民への莫大な負担増の押し付けを画策しています。
 既に民間企業では、こうした「ルール無き資本主義」のなか、人減らし「合理化」や成果主義など賃金破壊が推し進められ、安全・安心よりも経営効率が優先されています。そのための事故も相次いで起こり、国民の批判も高まっています。
 日赤本社は、人勧準拠方針をより一層強めると同時に「職員処遇の一体性」の名の下に施設への統制を強めています。いま本社が無批判に導入しようとしている勤務成績による昇給(査定昇給)制度は、医療・福祉の現場にとってチームワークを崩し安全・安心を脅かすものであり、これを無条件に許すなら職場の労働環境は破壊され、医療・看護事故を無くすどころか住民・患者が望む日赤事業とはかけ離れたものになるのは明らかです。断じて許すわけにはいきません。今こそ「平和で安心して暮らせる社会と全ての労働者が働きがいをもって働ける職場」を作り上げる必要があります。

春闘の重点課題は何ですか?

 全日赤は、国民の医療・福祉の充実と労働者の生活と権利を守り、安全・安心の医療・福祉が実践できる職場を作るために、日本医労連の産別運動に結集してたたかうことを基本としながら、二〇〇六年春闘では、次の5点を重点課題とします。
 (1)査定昇給および勤務評定の導入を断固阻止する。
 (2)大幅賃上げを目指すとともに諸手当の改悪を許さず、嘱託・臨時、パート職員を含め全ての日赤労働者の生活と権利を守る。
 (3)安全・安心の医療・看護の確立、医療事故防止、医療・福祉の充実をはかるため、看護師をはじめとする日赤労働者の大幅増員を勝ち取る。
 (4)小泉「医療社会保障構造改革」に正面から対決して医療保険制度の全面改悪を阻止するとともに、国公立公的医療機関の再編成「合理化」に反対し「医療雇用組織」を守りぬく
 (5)憲法改悪国民投票法を阻止し、平和と民主主義を断固として守りぬく

給与構造「改革」について、どの様にたたかいますか?

交渉の到達点を協定化します。

 昨年、本社が提案した給与構造「改革」は、中労委のあっせん作業を通して全日赤のたたかいにより「勤務成績による昇給制度については継続交渉」とさせました。また俸給表を4分割し昇給月を年1回とするものの、「4年間の1号俸抑制」と「枠外昇給の廃止」を撤回させ、「昇給月も4月」とさせることができ、現行制度を下回らない賃金制度とすることができました。俸給表の引下げは認めがたいものがありますが、原給保障がされ当面の不利益は生じないことから、現時点での交渉の到達点を賃金協定として締結することを提案します。そして俸給表の引下げに対しては賃金協定を締結した後、今春闘から俸給表の改定を含め大幅賃上げを目指してたたかいます。

勤務評定による査定昇給・成果主義賃金の導入は断固阻止します。

 人が人を評価するにあたって客観的な評価が出来るものではなく、私情が入り労働者の間に差別と分断を持ち込むものです。安全・安心の医療を行う上で重要なことはチーム医療の充実であり、そこに差別・分断を持ち込むことは医療の質を低下させるだけではなく医療事故にもつながりかねません。医療の職場には馴染まないどころか危険な制度であり試行であっても断固導入を阻止するため、全日赤は総力をあげてたたかいます。

勤務評定反対の世論を高めます。

 成果主義賃金・能力給、勤務評定の狙いが総人件費の抑制であることや労働者を分断し労働組合を弱体化させ「物言わぬ労働者作り」であることと併せ、提案されている評価基準が恣意的に使われる可能性が大きく、そのことにより働きづらくなることの宣伝を強化し、勤務評定導入反対の施設内世論を高めます。

評価基準の弊害を追及します。

 既に勤務評定が導入されている単組においては、賃金・一時金に反映させないことの確約をとると同時に、本社提案の練習をしないよう注意しながら既存の評価基準の弊害を追及し撤回を目指します。(1)権利取得に対する査定など違法行為の排除、(2)恣意的な評価の排除、(3)公開制と組合が関与した意義申立制度の確立等です。

本社提案は逐条論破し導入を撤回させる。

 本社との交渉では、勤務成績による昇給制度(査定昇給)の導入反対を貫き、本社が提案している評価基準について、逐条論破し透明性・納得性や公平性・客観性の評価基準ではなく、恣意的な評価となるものであることを明らかにしながら、定期昇給の確保と特別昇給の拡充を行うための新たな昇給制度を追及します。

賃上げ闘争はどうなりますか?

 従来の賃上げ闘争と同様に、統一闘争を軸にしながら職場と中央の賃上げ闘争を一体のものとしてたたかいを構築します。ただし、統一要求について、要求項目によっては、二〇〇六年四月からの賃金改定に則した形式に変更するとともに、賃上げ要求額については、二〇〇六年春闘要求アンケートの集約結果と日本医労連の賃上げ要求を参考にしながら賃金専門委員会の議論を経て中央委員会で提案します。

ベースアップにこだわる

 日本医労連では、定期昇給はもとよりベースアップを勝ち取ることを提起しています。全日赤でもベースアップがなければ賃上げにならない人がでることから、人勧準拠反対と併せて徹底してベースアップにこだわり、賃上げ闘争をたたかいます。また嘱託・パート労働者の賃金改善にも取り組みます。

最低賃金にこだわる

 嘱託・パートや下請け労働者が増えるなか、二〇〇六年春闘でも最低賃金闘争を重点課題として位置付けて取り組みます。企業内最賃や地域最賃の改善と併せ医療産別最賃の制度化を目指して奮闘します。

個人賃金の総点検を

 サービス・不払い残業一掃の取組みと共に俸給の各付け違いや手当支給の間違いなどがないかどうか点検を強めます。労働基準法や賃金協定というルールに従って支払うべき賃金はきっちりと支払わせます。

本社統制が厳しくなってますがどのようにたたかいますか?

 単組・施設間交渉で確立してきた諸手当や給付を「給与要綱にないものは廃止する」という動きが強まっています。このような、労使関係を破壊する攻撃に対しては、断固とした態度で臨み、本部・単組・地方協が一体となってたたかい、ハネ返します。具体的には、本社が統制を行なう項目については全国最低基準を作り、その基準に基づいて各単組施設が交渉することを追及します。

休日出勤手当は断固守り抜く。裁判闘争も辞さない構えで

 施設が一方的に休日出勤手当カットを強行した場合は、裁判闘争も視野に入れながら不利益変更は断じて許さないたたかいを展開します。併せて本部では、本社に対して、指導監査のあり方を厳しく糾弾し正し本社統制を行わないよう追及します。

職場は人員不足で限界です。増員闘争をどうたたかいますか?

 いま看護をはじめとする医療の現場では、かつてないほど過酷な実態に置かれています。この現状を改善するためには、「職場を改善することと、国の制度を変えること」を一体のものとして運動することが大切であり、全日赤は「職場を改善する」ために直接雇用している施設長や本社に対して、職場のルール作りと大幅増員を徹底して追及します。併せて「国の制度を変える」ために産別に結集し「看護師ふやせ」の世論づくりや政府・自治体・議員要請行動等に奮闘します。

夜勤協定等、働くルールの確立で増員を

 夜勤協定は看護師をはじめとする交替制勤務者の労働条件の根幹といえます。そもそも夜勤は生態リズムに反して夜中に働くことから「有害業務」であり、夜勤協定は、有害業務である夜間労働をする上でのルール作りです。夜勤協定の締結・改善および協定遵守を追及します。
 施設によっては「夜勤人員を減らすか、回数を増やすか」と迫ってきます。また職場では「今よりはマシ」と二交替制へとつながっていますが、増員すれば、三交替でも夜勤人員も確保し回数も減らせます。
 また「勤務間隔を16時間以上、少なくとも12時間以上とすること」や「日勤・深夜の勤務割はしないこと」など夜勤に関するルールづくりを「夜勤は有害業務」であることを明らかにし、増員と共に追及します。

世間に訴えよう「看護師ふやせ、増やすな患者負担」

 大幅増員実現の最大のカギは「看護師増やせ」の世論をどれだけ広範なものにできるかにかかっています。看護職員と患者の置かれた劣悪な実態を、社会とマスコミに大きく訴えていく取組みを中央・地方、各施設・地域で一層強化します。
「新たな増員署名」を世論喚起の最大の柱に位置付けながら、「医療・社会保障署名」とセットで署名宣伝行動に取り組みます。医療を守る課題と結合させの広範な世論構築を、各単組で創意工夫し、全組合員が署名行動に参加するよう計画します。





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