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全日赤六〇年の歴史に確信
たたかう春闘方針を決定
二〇〇五年度第二回中央委員会

日赤労働者757号



 全日赤は、二〇〇六年二月十一日から十二日にかけて東京・晴海において中央委員会を開催し、全国から四十二単組、中央委員・オブザーバー・執行部等八七名が参加、賃上げ要求二万八千円を始めとするたたかう方針を決定しました。

 討論では、全日赤は「給与構造改革」に対して、中労委を活用しながらもよくたたかい、本社に一方的な勤務評定による査定昇給を導入させなかったことが語られました。そして四月からの賃金改定はやむを得ないが、今春闘から賃上げ・ベースアップを徹底して追及することと、査定昇給の提案を撤回させるため最大限のたたかいを行おうと意思統一しました。
 また、秋年末闘争でのたたかいぶりが各単組より報告され、広島単組でのパートの一時金改善や釧路単組ではパートの寒冷地を守ったたたかい、高松単組の夜勤改善のたたかいや釧路単組北見単組の二交替制阻止の発言は、たたかえば要求は前進することを改めて知らしめるものであり参加者に勇気を与えるものでした。一方、高槻単組での二交替制導入の動きや北見単組では調理部門での下請け化の動きなど、経営者からの攻撃が強まっている状況であることも報告されました。そして、休日出勤手当廃止に対しては、裁判闘争も辞さないことが意思統一されました。
 統一要求に対する意見として、釧路単組からは、今季の豪雪と石油代高騰のため、「寒冷地手当の経過措置見直しを」の意見が出され、春闘要求で掲げることが了承されました。また、成田単組からは、「休業補償のための文書類に係る費用が自己負担で高額になる」との実態と改善を求める意見がだされ、全社的福利厚生事業の改善を求め本社追及を強めることにしました。
 議案採決では、(1)中労委見解受諾に伴う賃金妥結提案、(2)06春闘方針を分けて提案し、(1)(2)とも満場一致で承認されました。スト権も満票で確立しました。また、「議事運営規定改定」と「医療労働会館・新会館」の予備提案もされました。

問われる「格差」「規制緩和」「小さな政府」

 今年の春闘で問題になっている増税や医療・介護・福祉の改悪などのテーマの根っこにあるのが、小泉「構造改革」路線であり、私たちを苦しめている大元にあるものです。その賃金制度版が、「成果主義」であり、もしこれが日赤に持ち込まれるならば、競争を強いられることにより、人手不足と過密な労働、管理職を含めて退職者の増大にさらに拍車をかけるものであり、職場とチーム・ワーク、安全・安心の医療、福祉を根底から壊すことになります。そして、メンタルヘルスを悪化させる大量の労働者を生み出すことでしょう。断じて許すわけにはいきません。

安全・安心のために増員を勝ちとり、成果主義・査定昇給は断固阻止しょう

 いままで、安全・安心よりも経営効率が優先されてきましたが、私たちがあきらめてしまえば、それこそ相手の思うツボです。全日赤六〇年のたたかいの歴史に確信をもち、組織拡大・強化で06春闘をたたかいましょう。

二交替制導入を阻止
(中央委員会での北見単組・本田中央委員の発言)

 長時間二交替夜勤の導入を止めさせました。
  昨年八月に精神科病棟に長時間二交替制夜勤を導入するという計画が師長会議でだされました。その病棟には組合員はいなく、そのことを聞いた職員から連絡があり、すぐ、組合との合意もできていない労働条件の変更は許されないと中止を申し入れましたが、施設側は当該のスタッフの合意は得ているからと一〇月に強行導入しました。私たちは、電話でみんなの思いを聞いたり、組合機関紙「まつかさ」で、二交替夜勤の弊害について宣伝したり、全国から施設に対して、抗議FAXを集中してもらいました。就業規則の変更届けも出さないでの試行でしたので、監督署へ告発し、指導をしてもらいました。反対署名に取り組み、五二八筆集めました。施設側はスタッフにアンケートを実施、アンケートには集中力が低下すること、休憩時間の保障もないため中止してほしいという意見が多くあり、止めることになりました。
 組合員もいない病棟でたたかいはたいへんでしたが、「まつかさ」による宣伝、反対署名に取り組み、反対しているのは労働組合だけではないことを示したことが、良かったと考えています。

06春闘宣言

 一月二〇日からの第一六四通常国会は、開会早々、耐震強度偽装問題、ライブドア事件、アメリカ産牛肉の輸入再開問題など、小泉「構造改革」による規制緩和路線による国民の安心・安全が脅かされる実態が次々と明らかになりました。小泉「構造改革」は、もはや破綻しているにもかかわらず、政府は医療制度の改悪や消費税率の引き上げなどの国民の負担増や平和憲法の根幹である9条を変えて、日本をアメリカといっしょに戦争のできる国にしようとしています。
 これらがまかり通るならば、労働者・国民のいのちや暮らしが大打撃を受けることは必至であり、同時に日本の平和と民主主義は重大な危機にさらされます。06春闘は、日本の将来を左右する重要な情勢のもとでたたかわれます。
 日本経団連の奥田会長は、「同じ業種内などで横並び的に賃上げ要求を行う傾向がいまだにあることは残念だ」などと言っていますが、大企業は空前の利益を上げており、トヨタをはじめ多くの労働組合がベア要求を行い、パート労働者の処遇を改善する企業まで出てきており、久しぶりに賃金引き上げが可能な情勢になっています。
 日赤本社は、人事院勧告準拠方針にもとづき、査定昇給制度の導入を執拗に狙っています。私たち全日赤は、患者や施設利用者の安全・安心を守るためにも、職場のチームワークを破壊する査定昇給制度・成果主義賃金を断じて認めることはできません。
 4万人の看護師を調査した「看護職員実態調査」に表れた看護職場の過酷な実態を解決する道は看護師の増員しかありません。新卒もベテランも働き続けることができる職場にするために、また、安全・安心の医療・看護を実現するために、日本医労連に結集して産別統一闘争を強め、たたかいを地域へ広げながら職場要求も含めた切実な要求の実現をめざす06春闘のたたかいに総力を挙げてとりくみます。
 平和憲法を守るため、「日赤9条の会」の賛同をさらにひろげ、国民の過半数の世論を形成するために奮闘します。
 そして対話と共同をすすめ、組織の拡大強化を最重点課題として位置づけ、要求と運動の前進をめざすたたかいに全力で奮闘します。

二〇〇六年二月一二日
全日赤二〇〇五年度第二回中央委員会




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