JRCSWU

勤務評定に基づく昇給制度に対する意見(3)

日赤労働者765号





視座 評定の手順等について

 「評定者」の評定を「調整者」が調整し、調整した結果の点数が、評価の材料とされる。しかし多くの職員がいる看護部では看護部長が「調整者」であるが、看護部長が一人一人の看護師や看護助手など全ての職員の日常業務を見ることは不可能である。現に単組での交渉では看護部長が「無理である」と回答している。評定者であるそれぞれの看護師長の評価に頼らざるをえない。そうなれば評定者の考えにより評価が変わる非客観的な評価となる。また逆に目立った行動が評価を左右する印象評価となる可能性もある。
  最終的に労働者をランク付けする「評語」の決定は「決定権者」が行うが、ここでも院長や施設長が、全ての職員を把握することはありえない。「勤務評定記録書」の点数はあくまでも参考資料であると本社は回答しているが、そうなれば「決定権者」の「さじ加減」で労働者がランク付けされてしまう。逆に点数だけで判断すれば評定者の考えによりランク付けが変わるという矛盾が生じる。最終的に相対評価を行うランク付けするシステムそのものに無理がある。
  階層別で相対評価を行うことも「評語」の決定に際して、決定権者の思いや施設の『事情』が反映する可能性がある。具体的にいえば、病院では医師や業務員、全ての職種が「初任給層」や「中堅職層」「幹部職層」のなかで相対評価するとなれば、医師不足のなか医師の評価を相対評価で低くするとは考えにくい。
  本社は「頑張れば賃金が上がる制度である」と言うが、評定の手順において、階層別の分布率を設けており、頑張った職員すべての賃金が上がる仕組みではなく、一部の職員しか賃金をあげない制度である。また分布率にも差があり昇給幅が大きくなるAとBを合わせれば「初任給層」は二〇%、中堅職層は二五%、幹部職層に至っては四〇%にもなっている。各階層に区分される職員の絶対数は、極めて幹部職員の方が少ないことも併せて見れば、幹部ほど賃上げとなる確立は高くなっており、これでは幹部ほど賃金があがる『お手盛り』制度であると言わざるをえない。

最後に

 本社は「頑張れば賃金が上がる制度である」と言うが、何に頑張ればいいのか分からないなか、真相は「評価してほしければもっと頑張れ」「他の職員よりもがんばれ」というものであり、「評価してほしければ言うことをきけ、文句を言うな」と言わんばかりの暗黙の脅しを含め、職員を締め付ける労務管理の道具でしかないと言わざるを得ない。職員を管理する幹部職層のA・Bとなる比率が高いことからもそのことは言える。
  労働者をランク付けする勤務評定による競争原理、労務管理がもたらすものは職員同士の疑心暗鬼であり、チームワークの崩壊である。そして働きづらい職場環境となる。メンタル的に病むことや退職に追いやる結果となるし、事故隠しや評価のための仕事に埋没し決して日赤のサービスを受ける人たちのためにはならない。
  職員の士気高揚を図るためには、職員の働きを認める上司の姿勢と働きやすい職場づくりである。ランク付けするのではなく的確な評価と指導ができるように訓練するべきであるし、職員が自由に意見が言える民主的な職場環境と十分な休息や教育が受けられるような労働条件の整備が不可欠である。
  新たな昇給制度として、現制度の特別昇給の拡充を求めるものである。具体的には、客観的な勤務実績に基づく特別昇給の制度化として、勤続一〇年毎に昇給幅を8号俸とすることや昇格基準の見直しを引き続き要求する。
以 上




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