労働者の意欲低下、職場疲弊
経済産業省が委託調査をした「人材マネージメントに関する研究会」は06年8月、成果主義の欠陥をほぼ全面的に認める報告をしました。
調査結果では、成果主義を導入した企業における部門のトップでさえ「職員の意欲向上につながった」と回答しているのは半数であり、従業員にいたっては約20%に過ぎず、多くの職員は意欲が低下したと答えています。
目的は人件費削減
報告書では、効果があったのは人件費の抑制のみで、社員の士気向上や業績向上に関しては「思うような効果が上がっていない」と厳しく評価を下しました。
協力して働こうという意識の低下、人を育てる機能の低下
効果がないばかりか、予測もしていなかった問題として、(1)賃金などの処遇に対する納得感の低下、(2)個人競争の激化による協働意識の低下、(3)人材育成機能の低下、(4)職場のプロセス(目標達成までの課程)管理の弱体化、の四点を挙げました。
同僚はすべてライバル
さらに、「チーム内のメンバーでさえも、ライバルと見なして仕事をしなければならない」「個人間の競争意識は高まるものの、意欲が高まらない」と指摘しています。
管理職も人材育成を軽視
管理職同士も「個人間競争」に追われ、「優秀な部下の疲弊、他の多くの部下に対する育成面での軽視」につながっていると分析しています。
構造的欠陥
報告書は、成果主義は単なる「部分的な問題」ではなく「構造的欠陥」を導いていると結論づけています。
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