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医療セ不当労働行為事件で和解成立
休日出勤手当の一方的廃止許さず
夜勤協定等労働条件改善をかちとる

日赤労働者769号



 日赤医療センターの休日出勤手当をめぐる不当労働行為事件は、四月一六日第六回調査が行われました。そして、病院側の一方的廃止というやり方は許されず、あくまで労使合意のうえで労働条件は決定されることを改めて確認・約束し、夜勤協定及びその他の労働条件改善をかちとって和解が成立しました。

 昨年八月二二日に組合が救済申し立てし、第二回調査時に、労働委員会が「不当労働行為の審査と並行して、労使で小委員会等を設置し、病院側が代替措置として提案している案(八項目)や『夜勤協定』の協議をしてはどうか」と提案。
 それを受けて七回にわたり小委員会(ワーキンググループ)が開かれ、「三交替は8回、変則三交替は4回」「夜勤調整を要する者の夜勤回数は考慮する」等を柱とする夜勤協定が合意に至りました。また、今回手当廃止の対象となっている「看護助手、保育士、調理師、透析室配置の看護師」についても、増員その他労働条件改善の協議を引きつづき行うことも確認されました。
 都労委はこの労使協議を受けて、病院側の一方的なやり方は許されないことと、不当労働行為の再発防止を盛り込んで和解協定書を提示し、労使双方受諾しました。
 和解協定書に「当委員会の示唆に鑑み、一八年一二月一日付で廃止したことを確認する。日赤は、手当支給停止以降同日までの支給額について、六月給与支給日をもって該当者に支払うものとする。」としたことは、病院側が組合との協議をつくさず七月一日から不払いにしたことは不当労働行為であってやってはならないことであり、労働条件はあくまで労使合意で決められなければならないという、組合側主張を認め、病院側を指導し、病院側もそれを受け入れたことを示すものです。これは、組合が今回の和解を受け入れた重要なポイントの一つです。また、組合側代理人の上条弁護士からコメントが寄せられ「内容的には今後そういう一方的措置はとらないという約束にほかならない」と和解協定書の意義について述べています。
 今回の都労委を活用してのたたかいで、労働条件の使用者側による一方的不利益変更は許されないことが再確認されました。夏期休暇や休日出勤手当などの改悪に対し、この医療センターのたたかいをいかしてたたかうことが大事です。

和解協定書の意味 弁護士 上条貞夫

(1)労働条件の決定・変更は、労使協議による合意決定が原則である(労働基準法第2条)。労使の協議をなおざりにして、使用者が力まかせで一方的に従来の労働条件を切り下げることは許されないし、それをあえて行なえば、不当労働行為と同時に労働契約違反の違法をおかすことになる。
 日赤医療センターが、四〇年にわたって支給されてきた交代制・断続勤務に従事する職員の、祝日、所定休日の勤務に対する割増賃金を団交も尽くさず一方的に廃止したことは、まさに不当労働行為の典型であった。これを許さない不当労働行為提訴のたたかいは、かねて懸案の夜勤回数制限、人員確保の労使協定をかちとるたたかいと、一体となって取り組まれた。

(2)そして、この労使協定(確認書)の合意が成立した機会に、労働委員会の示唆を受けて、当初病院が通告した平成一八年六月三〇日付けの廃止を同年一二月一日付け廃止に改めその間の支給停止額を支払うこと、今後労使は夫々の要求、提案については誠意をもって協議に努めること、を柱とする労働委員会での和解協定書の調印となった。
 その第3項に、「日赤は、組合からの要求事項、また、組合は、日赤からの提案事項について、労使誠意をもって協議に努めるものとする。」と書かれた意味は重い。当然のことを、わざわざここに明記したのは、日赤医療センターが一方的に割増手当を廃止したから不当労働行為提訴に至ったのであって、今後はそういうことは慎むという意味が込められている。救済命令ではないので、使用者の組合に対する謝罪の言葉は入っていないけれども、内容的には今後そういう一方的措置はとらないという約束にほかならない。

(3)このケースでは、個々人が原告となってカット分を取り返す裁判を提起することも出来た。勿論、勝訴の見込みはあった。ただ、手続きの早い労働委員会提訴と運動を結合させて決着を迫るたたかいから生まれた、今回の新たな労使協定(確認書)と労働委員会での和解協定書は、これからの組合運動のバネになる筈だ。




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