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二〇〇四年度賃金改定において
中労委が再度「自主交渉」を求める

日赤労働者735号



 二〇〇四年度の賃金交渉において、本社は昨年と全く同様に「人勧準拠の協定化」を迫ってきました。全日赤は「自らの賃金決定を人事院に委ねるような『団体交渉権の放棄』は労働組合としてできることではない。本社は協定破棄をせずに賃金交渉を誠意をもって行うように」と六月四日に本社要請行動を展開しました。この全国の声を無視し、本社は六月一六日付けで協定の破棄通告を送付してきました。全日赤は、この本社の暴挙に抗議するとともに六月一八日付けで日本医労連と連名で中労委へ(1)協定破棄の撤回と(2)誠実な団交の開催を求めてあっせん申請を行いました。
 日赤労組も同趣旨でのあっせん申請を行っており、一八日は全日赤と日赤労組が同席で中労委へ本社の不当ぶりを訴えました。昨年と同様に日赤内2組合が歩調を合わせた行動となっています。
 全日赤は、あっせん作業が比較的短期間で行われる「事務局あっせん」を希望しましたが、中労委は「事務局あっせん」ではなく「斡旋委員を選定してのあっせん作業を行う」としました。事案が昨年と同じことを繰り返す内容であり、中労委として、今後労使紛争が起こらないよう昨年以上の解決を目指しての取扱いだと思われます。
 全日赤も昨年以上の解決を追求し、事前に上条弁護士の「たび重なる協定破棄の重大な違法性」と題した文書を資料として提出しながら、あっせん作業に臨みました。
 第1回のあっせん作業は七月二六日に一三時三〇分から一七時三〇分の4時間にわたって行なわれました。全日赤は、日本医労連をはじめ民間全国五組合(健保労組・全労災・公共労・国共病組)の支援も得ながら本社の不当ぶりを訴えました。その結果、あっせん員は、全日赤、日赤労組、日赤本社同席の場で、「労使は自主交渉を再開し、無協約状態にならないよう早期解決をめざし、同意が得られれば、あっせん作業を中断する」として、日赤労使に対して口頭発言を昨年と同様に行いました。また昨年とは違いあっせん員から、「次年度の賃金交渉において、協定破棄に至らぬよう、次回のあっせん作業まで労使双方知恵を出してほしい」と附言としての要望が出されました。
 このことは、昨年同様に「労使の自主交渉」が基本でありまた「無協定状態」にしてはならないことが告げられたものであり、それに加えて「協定破棄」は好ましくないことを中労委が告げたものであると理解されます。
 今後、あっせん員の口頭発言を受けて、日赤労使は早期に自主交渉を再開することになります。中労委は、その交渉の進展をみながら2回目のあっせん作業を行なうことになますが、全日赤は交渉において「人勧準拠反対」「自主交渉・自主決着」を基本姿勢に賃金改善を追求します。

あっせん員口頭発言(メモ)

 平成一六年七月二六日
 日本赤十字社労使は、平成一六年度賃金について、具体的回答が出来る時期であることも踏まえ、平成一六年度賃金に係る自主交渉を再開し、無協約状態にならないよう早期に解決が図られるよう誠実に努力すること。
 以上のことについて労使の同意が得られるのであれば、当あっせん作業は暫時中断する。

あっせん員の附言

 平成一七年度の賃金については、協定破棄に到らずに、自主交渉により早期に解決できるよう次回までに労使双方で、知恵をだしてほしい。

 




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