機関紙「日赤労働者」

「Rプラン」交渉の到達点

2020年度のたたかい署名2万2000筆

 2020年1月30日に本社より「Rプラン」の提案があり、その特徴は、(1)勤務評定による賃金制度導入、(2)俸給表の統合再編による賃金抑制、(3)諸手当の見直し、(4)退職金の改悪で、セットとして協議を求められました。
 全日赤は「Rプラン反対」職員・家族署名を2万2000筆集めるなど反対運動を展開し、11月16日に中労委へあっせん申請をおこないました。

中労委あっせんで勤務評定1年見送り

 2020年12月17日午前0時に、「勤務評定にかかる提案内容を切り離して継続協議することと、それ以外は本社提案で合意するよう求める」内容の「あっせん案」が示されました。
 全日赤はウェブ形式で闘争委員会を開催し、次の点を考慮し受諾することを決定しました。
(1)セット提案を断念させ「勤務評定による賃金制度」「俸給表の統合再編」は継続協議となった。
(2)諸手当に関して一定譲歩があった。
 (1)「放射線作業手当の改悪」「休日出勤手当の廃止」は無期限継続協議(事実上撤回)
 (2)「扶養手当の要介護認定を条件する」提案の撤回
 (3)廃止される手当に3年間の経過措置
(3)退職金に関して一定譲歩があった。
 (1)2021年3月31日時点の退職金額を保障
 (2)最高月数を50ヵ月から51・5ヵ月に引上げ
 (3)定年時特別退職金廃止に3年間の経過措置

2021年度のたたかい日赤内3組合の共闘

 全日赤は2021年7月14日に、日赤労組と日赤新労に「全施設への申し入れ行動」を提示し共闘の申入れをおこないました。
 結果、(1)日赤労組の施設には日赤労組が申し入れる。(2)日赤新労の施設および未組織の施設には全日赤が申入書を郵送する。(3)全日赤の施設には各単組が県医労連とともに申し入れることで、全施設への申し入れ行動をおこないました。
 また2021年10月1日には、「コロナ禍でもあり2022年4月1日実施は見送るべき」との一致点を「中央3組合の共同声明」として発表しました。
 歴史的に例を見ない画期的な出来事であり、本社への圧力となりました。

勤務評定の一時金反映2年先延ばし、G/P2への昇格確保

 2021年11月4日の団体交渉で本社が示した内容は次の通りです。
(1)期末勤勉手当の比率変更(7対3→5対5)と勤務評定の反映の制度実施時期は、令和6年(2024年)4月1日とする。反映の適用は、2025年夏期一時金から。
(2)評価昇給の昇給月を7月とする。
(3)GM1とGM2の住宅手当廃止は経過措置を含むこととする。
(4)G/P1からG/P2への昇格については経験年数を加味する制度を検討している。

現給保障の延長、G/P3上限確保、退職金の算定保障

 2021年11月24日の団体交渉で、本社から一定の譲歩案が示されました。その概要は次のとおりです。
(1)俸給月額にかかる現給保障について、5年間満額保障に加え、4年間30%を保障する。
(2)G/P2の者のうち、Rプラン実施日にG/P3の上限額を上回る俸給月額を得ている者については、G/P3の上限額までを在職期間中保障する。
(3)G/P2の最高号俸を引き上げる(100円×8号俸分(2年)+50円×12号俸(3年))
(4)G/P1からG/P2への昇格については経験年数を加味(大卒の採用者は9年目の年に昇格)。
(5)退職金の計算基礎となる俸給は実施日前日を保障。
(6)初任給の統合に関して、
 (1)格付け表に救急救命士を加える。
 (2)在職者調整を従前の取扱いにならい実施する
  (3年前の採用者まで)。
(7)サブグレードの違う施設への異動は当面、異動前のグレード手当とする。
(8) 医療職(三)の深夜手当の加算。
 (1級・580円、2級・550円、3級以上・520円)
  ↓
 (P1・580円、P2・550円、P3以上・520円)

現給保障さらなる延長、実施時期の1年先延ばし

 全日赤は、2021年12月15日に集約した「Rプラン反対」職員家族署名(総数1万3165筆)と「勤務評定導入反対」団体署名(総数519団体)を提出しながら、2021年12月16日に団体交渉を開催し、さらなる前進回答をおこなうよう追及した結果、次の追加提案提案がなされました。
(1)現給保障、「5年間100%+4年間30%」↓「5年間100%+5年間30%」に改める。
(2)号俸延長、「2年間400円+3年間200円」↓「2年間400円+3年間400円」に
 加えて、医療職(二)は「2年間400円+4年間400円」に改める
(3)一般職(二)の初任給格付けの金額を引き上げる。
(4)実施時期については、令和3年度中に制度改定をおこない、実施を確定させた上で、令和5年(2023年)4月1日に実施を延期する。
(5)その他
 (1)「G/P3に昇格するタイミングは次のようになると考える」と経験年数を全日赤が提示した。
 (2)「役職に関係なくG/P3に期待する能力を有する職員が一定存在ことは社にとってマイナスではないと考えている」と本社が考えを示す。
 (3)「在職者の移行について、P3への格付けは、一定程度の経験を積み重ねてきた者の中から決定されるものでないかと考える」との本社が考えを示す。

全日赤の対応

 全日赤は、2021年12月19日に第2回拡大闘争委員会を開催し、12月16日の団体交渉にて、本社が提示した「Rプラン」の追加提案に関して、勤務評定の導入は認めないないものの給与(賃金)改定については妥結する方向で進めることを賛成多数で決定しました。
 具体的には2022年2月5日に予定している第2回中央委員会に妥結提案をおこない全日赤としての対応を決定することとしました。
 そして12月20日の団交にて本社に対して「勤務評定については、認めることはできないが、賃金改定については一定の譲歩案が示されたものと理解する。不満は残るが、12月16日の交渉内容を文書確認することを条件に妥結の方向で進める」と全日赤の方向性を伝えました。

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