機関紙「日赤労働者」

2023年春闘
勤務評定を廃止させ、労使交渉による働くルールづくりの確立生活できる賃金・労働条件を勝ち取り、平和憲法を守りぬく春闘

中村書記長に聞く

 2022年度の賃金交渉は、賃上げ1月実施となりました。年末一時金闘争と併せて賃金闘争の総括をおこない、今春闘でのたたかい方決定するため2023年2月4日から5日にかけて第1回中央委員会が開催されます。今春闘のたたかい方について書記長に聞きました。

4月新賃金の格付けはどうなりますか?

 2023年4月からRプランに基づく新賃金に変わります。4月1日に採用される新職員はG/P1のグレードに格付けられ「初任給基準表」に従い初任給号俸が決定されます。
 また、在籍している職員の移行に関して「グレードは施設長が決定する。号俸は移行日前日の俸給月額と同額または直近下位の額の号俸に移し定期昇給分を加えて決定する」ことになっています。施設長が決定することは、施設の労使で交渉し決定することになりますが、一定の基準を本社に示すよう追及した結果、G/P2については「昇格に関する基準号俸に基づき移行する」ことを確認しました。つまり昇格に関する基準号俸の俸給額を超えている職員は、G/P2に格付けられます。G/P3への格付けは、本社に基準を示すよう追及しましが、施設長決定は変わりませんので、決定した根拠や基準を示すよう施設交渉にて徹底して追及します。

勤務評定はどのように阻止しますか?

 全日赤は、勤務評定の導入は認めず協定から勤務評定にかかる箇所を線引きし除外しました。その上で評価の結果に基づく賃金制度となるなかで、「評価」は勤続年数を用いておこなうよう追及します。
 一方で、本社は給与要綱を改定し、2023年4月からの勤務評定実施に向けて準備を開始しています。全職員への説明動画を配信するとともにトライアルの実施を全施設に指示していますが、施設からは「トライアルをやる余裕がない」などの声も聞かれます。
 全日赤は、トライアルの状況を集約しながら、説明動画と併せて勤務評定が公正・公平な評価はできないことを宣伝し、業務が増えることと併せて施設から本社に対して「勤務評定中止」を上申するよう追及します。

春闘情勢はどうなっていますか?

 日本だけ賃金が上がってないグラフを引用しマスメディアも日本の低賃金を報道しており、経団連会長も1月1日のインタビューで「賃上げは企業の責務」と言い切り「一時的給付も良いが、できるだけベースアップを中心にやってほしいというのが我々のスタンス」との考えを示しました。また岸田首相も1月4日の年頭会見で「物価上昇率を超える賃上げの実現をお願いしたい」と述べています。物価上昇で生活できなくなる状況であり、賃上げ必要の世論が広がっています。

賃上げ要求額を含め春闘要求は?

 賃上げ要求額は、「生計費原則」に則った議論を進めながら、2022年度要求アンケートの集約結果を重視しながら日本医労連の賃上げ要求(4万円要求・看護師初任給27万円以上)を参考にして賃金専門委員会で議論します。また、初任給要求では、基準号俸の要求も練り上げながら引き続き施設の上積みを認めるよう要求し、昇格基準に関してもG/P2への基準号俸改善とG/P3への昇格基準号俸の要求を練り上げ本社追及を強めます。
 待機手当についても全日赤の基本的な考え方「中央交渉で最低基準を作り単組施設で上積み交渉をおこなう」に立ち返り春闘要求を練り上げ中央委員会に提案します。

春闘をどうたたかいますか?

 Rプランの俸給表は、公務員賃金を元にして再編・統合したものです。本社は「世間並み」を主張しますので、まず世間の賃上げ情勢を押し上げます。そのために最低賃金の引き上げを重点とし取り組みを強化します。そして、物価高騰のなか物価上昇率を上回る賃上げと生計費原則に基づく賃上げを追及します。またコロナ禍で奮闘している職員に報いるためにも全ての職員の大幅賃上げをおこなうことを求めます。
 人員確保の要因は賃金だけではありませんが、賃上げは大きな要素であり賃上げにより看護師をはじめとする医療労働者の確保につながり、医療労働者の確保が安全で安心できる医療を確保するものであることに確信を持ち本社・施設追及を強めます。
 次に、医療や福祉で働く労働者が世間並みの賃上げをおこなえば、施設が成り立たなくなる現状を世間に訴え、政府の政策を軍備拡大ではなく、社会保障充実へと転換させ財源確保も求めます。そうした中で、日赤本社に対して、人事院勧告に依らない、真に世間並みの賃上げを自主的におこなうよう追及し、春期決着を目指します。
 そのために、要求提出(2月22日)と同時に「大幅賃上げと賃金改善を求める職員・家族署名」に取り組みます。そして回答日翌日の統一行動日(3月9日)には国際女性デーに、ちなみ黄色い(ミモザ色)物を全員で着用し女性の地位向上と医療・福祉労働者の賃上げをアピールします。また9日より春闘ワッペンの着用も開始します。

一時金の交渉はどうなりますか?

 賃金協定に基づき本部本社間で決定する「基本額」に関する要求を春闘要求として本社に提出します。「基本額」は春期に決着する必要があることから、回答指定日(3月8日)の翌日および3月下旬、4月下旬にストライキを配置し要求前進を追及します。「基本額」の決定に関しては地方協代表者会議の意見を聞きながら中央執行委員会で判断します。
 その後、単組ごとに「基本額+加算額」の要求と単組スト権の確立をおこないながら施設と交渉して一時金を決定します。
 また、今年の夏の一時金から加算措置(傾斜配分)は廃止となりますので、単組では「廃止に伴う財源を一律支給せよ」と一律要求を重視し施設を追及します。

労働条件等の重点課題はなんですか?

 (1)「サービス・不払い時間外労働一掃のたたかい」は、時間外手当の請求は増員・医療改善のつながるたたかいとして位置づけながら請求運動を展開します。春闘では4月17日から21日までを退勤調査週間として位置づけて、時間外労働の実態調査をおこないながら、新職員に向けて時間外請求の意義を訴えます。
 (2)「年休・権利休暇取得促進」では、昨年から開始した「消える年休救出プロジェクト」の取り組みを強化し、付与された年休を捨てることなく権利行使できる職場環境の構築に取り組みます。
 (3)育児休業に関して、2022年10月から施行された育児・介護休業法に基づく日赤の育児休業規程の改正内容を宣伝し、不十分な点を指摘しながら改善を要求します。また育児短時間勤務を取得しやすくするために、現在、発生している問題点を解消するための要求を練り上げ本社・施設追及を強めます。
 (4)「夜勤改善の課題」では、引き続き当面月8日の夜勤協定の締結を追及するとともに「インターバル協定」の締結も追及し、また夜勤明けの勤務免除の追及を強めます。
 (5)臨時・嘱託・パート職員の処遇改善に関して同一同一の判例をいかし、本社追及を強めるとともに直接雇用している施設長の責任を追及します。
 (6)血液センターの一時金に対する施設交渉権の問題や非正規雇用に関して脱法的な施策を実施している問題など許しがたい状況にあります。今春闘の中で職場の意思統一を図り世間へのアピールを含め運動を作り上げます。

組合を大きくするための取り組みは?

 要求を実現させるために、組合が大きく強くなる必要があります。
 4月の新採用者に対する取り組みはコロナ禍で従来のみんなで集まって説明する方法ができなくなっていますが、そうした中でも個別に説明会を開催したり、医労連共済や労金活用を訴えたり、各単組がコロナ禍での新歓を取り組んでいます。今年の新歓に向けて各単組の企画を交流する場を3月5日にオンラインで実施します。
 また春闘では3月9日を春の「わくわくの日」とし、さらにその後1週間(3月10日から16日)を組織拡大取り組み強化週間と位置づけるとともに新採用者への働きかけも早い時期から準備をすすめ、100%加入をめざし奮闘します。

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