機関紙「日赤労働者」
視座
日常を脅かす憲法改悪
防衛増税より社会保障拡充を
医療・福祉の現場に身を置く私たちにとって、平和と人権は空気や水と同じく、欠くことのできない大前提である。しかし今、憲法九条への自衛隊明記や緊急事態条項の創設をめぐる議論が、私たちの日常を脅かす現実味を帯びて迫っている。
背景にあるのは、米国のトランプ大統領が迫る「同盟の対価」だ。防衛費のGDP比5%という法外な要求は、必然的に「軍事優先、生活後回し」の予算配分を招く。防衛増税が家計を圧迫する一方で、本来充てられるべき社会保障予算が削られ、慢性的な人手不足に悩む医療・介護現場の労働環境はさらに悪化の一途を辿っている。
特に危惧すべきは、緊急事態条項による「私権の制限」だ。有事の名の下に、内閣の判断一つで医療従事者が強制的に動員され、業務に従事させられる法的根拠となりかねない。私たちの労働基本権や意思が、国家の軍事論理に飲み込まれることだけは断じて許されない。
全日赤の設立以来、私たちは現場から平和を訴え、戦時下の教訓を紡いできた。傷ついた人々に寄り添う医療の使命は、いかなる戦争とも相容れない。「平和でなければ、最善の医療は提供できない」という信念を今こそ鮮明に掲げよう。軍拡への道を突き進む前に、憲法が保障する生存権と、働く者の尊厳を守るための連帯が求められている。

