機関紙「日赤労働者」
全日赤第80回定期全国大会議案(抜粋)
大幅な賃上げと増員で、誰もが自分らしく働ける職場へ
いのちと暮らしをまもる、平和な社会をともにつくろう!
全日赤第80回定期全国大会は、7月10日(金)から12日(日)にかけて、姫路キヤッスルグランヴィリオにて、開催されます。各単組へは既に招請状を送付し、議案書も単組の必要部数を送付しますが、ここに大会議案の概要を掲載し、議案討議を呼びかけます。
2025年度の運動総括
(私たちの歩みと確かな成果)
私たちはこの1年間、本社の頑なな経営論理に対し、現場の圧倒的な世論とストライキを背景とした自主交渉で果敢に立ち向かってきました。その結果、定年延長への対応や次期賃上げへの足掛かり(議事録の確保)など、確かな足跡を残すことができました。
1.2025年度 賃金確定闘争の振り返り
ストライキを背景に勝ち取った前進
2025年度の賃金確定闘争では、本社の頑なな「人勧準拠」の姿勢に対し、全国の仲間がストライキの構えをもって自主交渉に挑みました。
経営論理を押し戻す成果
現場の圧倒的な世論を背景に交渉を重ねた結果、定年延長に伴う勤務における配慮や、次期賃上げに向けた重要な足掛かりとなる「合意内容の議事録化」を本社に認めさせました。これは、経営効率だけを優先する本社の姿勢を、組合の団結力で押し戻した確かな成果です。
2.非正規職員の処遇改善と「安易な業務委託」への反対
住居手当の支給を勝ち取る
「同じ仕事には同じ給料・手当を払うべき」という同一労働同一賃金の原則に基づき、週5日フルタイムで働く再雇用職員への住居手当支給(2027年度より開始)を要求前進として認めさせました。
医療の直営原則を守る
利益を最優先にした給食の外注化(業務委託)は、ご飯の質の低下や現場の混乱を招きます。私たちは「医療・給食は直営(病院が直接雇うこと)が原則」と掲げ、安易な外注化に歯止めをかける運動を続けています。
3.組織の拡大・強化と「たすけあい共済」の推進
仲間を増やす取り組み
「第8次組織拡大強化2カ年計画」の最終年度として、地方協と本部が一体となり、重点単組へ直接出向いて説明会や新歓対策をおこないました。
職場での世論づくり
各組合がカレーの日、お茶会、新歓のオリエンテーションでの工夫、クイズ大会など、親しみやすい企画を次々と展開。「組合は身近で必要なもの」という雰囲気を職場に作り、組合を見せる取り組みをしました。
医労連共済の仲間増やし
新歓アンケート、学習会やニュースの発行を通じて、組合員同士が支え合う「助けあい制度(共済)」の意義を広めました。
4.争議解決とハラスメント対策
新人看護師の自死裁判を全面支援
釧路で起きた、新人看護師のパワハラ自殺をめぐる労災認定・損害賠償請求裁判を支援しています。
ハラスメント・カスハラ対策の強化
職場内のパワハラや、社会問題化している患者・家族からのカスタマーハラスメント(カスハラ)から職員を守るため、名札の表記を見直したり、外部機関と連携したりして、安全確保を最優先に進めています。
5.平和を守り、社会保障を充実させる共同行動
平和への取り組み
「平和でなければ、安全な医療・福祉は提供できない」という強い信念のもと、大軍拡や憲法改正の発議を阻止するための世論づくりに取り組みました。「医労連憲法・平和学習交流集会」や「5・3憲法大集会」、被爆80年を迎えた「原水爆禁止世界大会」、国民平和大行進などに結集しました。
いのちと暮らしを守る政治へ
国民皆保険制度を脅かすマイナ保険証の一体化強行、高額療養費の窓口負担引き上げ、OTC類似薬を保険から外す動きに対し、保険医団体連合会(保団連)や地域の社会保障推進協議会(社保協)と一緒に声を上げ、政治の転換を強く求めました。
2026年度の運動方針
(これからの運動と重点課題)
1.重点課題と具体的な取り組み
①勤務評定制度の廃止・骨抜き(職場をバラバラにさせない)
本社の進める「Rプラン」は、成果主義を隠れみのにした人件費抑制の手段です。これは、医療や福祉に最も大切な「チームワーク」を根本から壊してしまいます。
全日赤は、この勤務評定の導入を一貫して認めていません。実質的に機能しないよう「骨抜き」にし、最終的には「完全廃止」することを目指して、全組織を挙げた「勤務評定・勤勉手当(一時金)への反映廃止」署名行動や職場での世論づくりを進めます。
②人勧(人事院勧告)準拠の打破と、すべての職員が実感できる賃上げ
本社は「世間並みを確保するため人勧を参考にしているから」と言い訳をします。しかし、私たちは民間企業の労働者です。この「人勧準拠」の方針を打ち破り、自分たちの話し合いで賃金を決める「労使自主交渉・自主決着」を勝ち取ることこそが賃金闘争の基本です。
2026年度の診療報酬改定や介護報酬臨時改定で、賃上げのための原資ができました。しかし、Rプランによって「俸給調整給」の対象職員は、本俸(基本給)そのものが大幅に上がらなければ、実質的な賃上げを実感できません。
中堅・ベテラン層の賃金が頭打ちになっている現状をなくすため、定期昇給の枠を広げること(枠外昇給の復活や号俸延長)や、上司の好き嫌いで評価されない「経験年数や勤続年数に基づいた明確な昇格基準」を施設ごとに作らせるよう迫ります。
【賃金確定闘争の日程】
要求提出:8月7日
回答指定日:9月2日
統一行動日(ストライキ配置):9月4日
③最低基準の確保と手当の改善
待機(オンコール)手当の増額
現在の基準は、拘束される負担に対してあまりにも低すぎます。2026年度中に手当そのものの基本額を大幅に上げるよう本社に迫るとともに、それぞれの施設が独自に上乗せして支給するよう追及します。
休日出勤手当の死守
本社は手当を廃止、または話し合いを先延ばしにしようとしています。土日や祝日に働くことは、社会生活や家庭生活において大きな不利益を伴います。過去の「広島裁判認諾(組合側の主張を病院が認めた教訓)」を活かし、一方的な手当の廃止を断固として拒否します。
企業内最低賃金(最賃)の引き上げ
2025年の地域別最低賃金は、全国平均で66円引き上がり、加重平均で1121円となりました。この動きを踏まえ、「看護師」の最低賃金、そして「すべての職種」に適用される時給・日額・月額の最低賃金協定を、本社およびすべての施設で結ぶよう徹底的に追及します。
④働くルールの確立と、労働時間・夜勤の抜本的な改善
サービス残業の一掃
「朝、始業前に早く来ておこなう情報収集」「休憩時間中の対応」「各種勉強会や会議への出席」はすべて立派な労働時間です。これらを適正に記録させ、「1分単位」で時間外手当を完全に請求する運動を展開します。上司が「残業を命令していない」と言い訳しても、法律上は「黙って見過ごしている(黙示の指示)」にあたることを示して対抗します。悪質な不払いに対しては、労働基準監督署への申告も視野に入れて対応します。
夜勤の規制と勤務間インターバル
国際基準(ILO夜業条約)に合わせて、週の労働時間を短縮し、「夜勤協定」をすべての職場で結びます。また、診療報酬の条件にもなった「勤務間インターバル」については、公休や年休をその穴埋めに使わせず、「連続での夜勤は2回まで」とするなど厳しいルールを作らせます。
育児短時間勤務(育短)の権利を守る
1日の労働時間を6時間に短縮できる「3号育短」を、交替制(夜勤などがある)で働く人たちにも当たり前に定着させます。制度を使っている職員に対して、夜勤を無理やり押し付けたり、嫌がらせ(ハラスメント)のような圧力をかけたりすることを一掃します。
⑤組織拡大・強化と「わくわく週間」
仲間を増やす計画
定期大会で「第9次組織拡大推進委員会」を新しく立ち上げ、単組・地方協・本部が一丸となって組織拡大に取り組む体制をつくります。
日常的な声かけ
賃金支払い日の「16日行動」に合わせて給与明細の総点検をおこなったり、カレーの日や「しゃべり場」などの交流イベントを年間通じて開催したりします。
集中期間の取り組み
11月と3月の「わくわく週間」、そして秋と春の「組織拡大強化月間」を中心に、すべての組合員が「声かけ隊」となって、職場の中に組合の仲間を増やしていきます。2027年1月の対策会議を経て、新しく入ってきた職員の「早期100%加入」を目指します。
医労連共済への一律加入
医労連共済(助けあい制度)は、組合に入ること・続けることの大きなメリットです。新入職員への「みんなの助けあいアンケート」の回収、新しい組合員へのセット共済の案内、4月~5月の「共済型上げ(保障内容の手厚いものへの切り替え)推進期間」での周知に力を入れます。
⑥ハラスメント対策と争議勝利へのたたかい
裁判の全面支援
釧路・大津のパワハラ自殺訴訟について、ご遺族の願いに寄り添い、早い段階での完全勝利・解決を目指します。
不当な介入への反撃
施設の「支配介入(不当労働行為)」を許さず、組合の正当な権利を守り抜き、労働委員会などの制度を活用して施設側を追及します。
2.分野別・職種別の活動強化
①看護管理・チーム医療の適正化
研修は仕事の時間内に
キャリアアップのためのラダー研修は、必ず「仕事の時間内」におこなわせ、その時間は通常の業務を免除(勤務免除)させることを徹底します。
補助者との連携ルール
医師の仕事を他へ移す(タスク・シフト)動きに伴い、派遣、委託、外国籍などの「看護補助者」が増えています。看護師や看護補助者だけに法的・精神的な負担が丸投げされるのを防ぐため、「どこまでが誰の仕事か」「指示の責任は誰にあるか」を明確にした院内のガイドラインを作らせます。「特定行為(一定の医療行為)」を無理やりやらせることは許さず、医師や看護師をしっかり増やすことこそが医療安全の基本であると主張します。
②地域医療構想への反撃と、公的病院の存続
病床削減への反対
政府や維新の会が進める「病床削減推進法」や「公立病院経営強化プラン」に反対します。普段から感染症などの緊急事態に備えられるよう、人員にゆとりのある体制を要求します。
地域医療を守る
日赤本社は、経営状況によって施設を4つのグループに分け、赤字の病院(「本部管理病院」「重点支援病院」など)の自由な裁量を奪おうとしています。こうした職場の単組に対しては、本社の医療事業推進本部との労使協議会を通じ日赤として病院を絶対につぶさず、地域の医療を守り抜く姿勢を迫ります。
③社会福祉・児童福祉の抜本改善
児童虐待の相談が急激に増えている現場に対応するため、十分な人員を確保させます。また、国が始めた「こども誰でも通園制度」の全国展開に伴い、現場の負担に見合った職員の配置基準の引き上げ、そして物価高騰に負けないための国からの財政支援の拡充を、こども家庭庁や厚生労働省へ強く要求します。
④血液事業の安全性確保
最近、血液製剤の管理ミスや保管トラブル(手順の間違いによる大量廃棄など)が相次いでいます。その背景には、過酷な移動採血や慢性的な人手不足があります。
法律で決められている「採血責任者」に手当をきちんと支払うよう本社に求めるとともに、事業のブロック化(広域化)によって誰が交渉の責任を持っているのか曖昧になっている現状を正します。
⑤給食部門の専門性評価と直営原則の死守
2026年度の診療報酬改定で「嚥下調整食(飲み込みやすい介護食)の特別食加算」が新設されました。しかし、この加算を取るための条件は非常に厳しく、病院側が直接指示を出せない委託業者や派遣職員の体制ではクリアが困難です。この点からも、「給食を直営で維持し、直接雇用することのメリット」を病院の上層部に認めさせ、人件費を削るためだけにおこなわれる安易な外注化(外部委託)を阻止します。
3.方針のまとめ(知は力、みんなで納得して進む運動へ)
2026年度のたたかいは、高市政権の暴走による憲法改正や大軍拡を止める「平和のたたかい」であると同時に、本社の効率(利益)優先主義を打ち破り、私たちの命、健康、そして働きがいのある職場を自分たちの手でつくり出す「生存のたたかい」です。
「知は力(正しい知識を持つことが力になる)」、そして「誰かに強制されるのではなく、みんなが納得して自発的に参加する運動スタイル」を全日赤の合言葉にし、すべての職場が一丸となって要求の実現と、強い労働組合づくりへ突き進みましょう。
秋年末闘争方針
(具体的なスケジュールと運動方針)
1.賃金確定・一時金闘争の組み立て
基本給の一律アップと勤務評定の撤回
私たちは、「本俸(基本給)一律34000円、総額50000円以上」の賃上げと、それを4月にさかのぼって支給することを求めます。また、勤務評定の結果を一時金(勤勉手当)に反映させる仕組みを撤回するよう求め、8月7日に統一要求書を提出します。
年末一時金の格差実態の是正
秋年末の一時金については、職員間の格差をなくすため「一律支給」を掲げ、「3・5ヵ月分+70000円」を基準とし、それぞれの組合で独自の要求書を10月23日までに提出し、いざという時のための「ストライキ権(スト権)」を事前に確立します。
2大統一ストライキの配置
要求を施設側に認めさせるため、以下の日程で「全面1時間ストライキ」を配置します。現場の怒りの声をカタチにして、各施設や本社を強力に追い詰めます。
9月4日:賃金確定闘争 第1次統一ストライキ
11月5日:秋年末闘争
第1次統一ストライキ
2.職場環境・労働条件の改善
退勤時間調査
10月を「退勤時間調査取り組み集中月間」とし、誰がどれだけ残業しているのかを徹底的に調べます。これにより、サービス残業を完全に無くし、1分単位での時間外手当の請求を職場全体に定着させます。
3.共同行動への結集と組織の拡大
地域や仲間との共闘
10月29日の「いのちまもる総行動」や、日本医労連が進める全国キャラバン行動にみんなで参加します。国が進める病床削減に反対し、地域の医療を死守するための声を社会に広げます。
秋の仲間増やしと青年集会「リブ」の活用
10月~12月の「組織拡大推進月間」や、11月16日からの「わくわく週間」を大きな山場として、まだ組合に入っていない職場の同僚への声かけを強めます。すべての組合員が一歩を踏み出し、特に、9月26日~28日に開催する「第31回青年交流集会(リブ・ヤング)」を若い組合員の結集軸・つながり強化の絶好の機会と位置づけ、青年独自の要求実現と組織拡大の原動力として大いに活用します。
春闘準備
10月中旬より「働くみんなの要求アンケート」を開始し、職場の声を2027年春闘方針へとつなげます。

