全日赤 日本医労連全日本赤十字労働組合連合会 働くものの権利を守り、患者さんが安心して医療・看護を受けられる日赤を 全日赤 日本医労連全日本赤十字労働組合連合会 働くものの権利を守り、患者さんが安心して医療・看護を受けられる日赤を
全日赤紹介
全日赤の考え
機関紙「日赤労働者」
単組・地方協の取り組み
全日赤の動き
専門部
組合用語集
リンク集
カレンダー
会員専用
個人加盟労組のご案内
 
 
ホーム 戻る
HOME機関紙「日赤労働者」目次>機関紙「日赤労働者」
機関紙「日赤労働者」

全日赤重点要求の実現をめざそう

  2012年春闘から継続追及している重点課題をまとめました。

給与明細に賃金単価明示を

要求その1

 当然のことですが、賃金は全額払いが原則です(労基法第24条=不払いの場合使用者は罰せられる)。時間外手当など割増賃金も働いた分は全額支払われなければなりません。

割り増し賃金額は時間単価で計算

 諸手当のうち時間外手当、休日出勤手当、深夜手当は、「勤務1時間当たりの給与額」(時間単価)×25%(35%)で計算した割り増し額で支給されます。深夜手当については医療職俸給表(二)・(三)等の職員は割増率50%であり定額の加算もあります。

時間単価は毎年、毎月変わる

 では、この時間単価はどのように決まるのでしょうか。日赤では、俸給や特殊勤務手当などの月間合計額を12倍してその年の勤務時間数で除した額、となります。そして、その年の勤務時間数(年間総労働時間)は祝日と日曜日が重なったり、うるう年だったりと毎年変わります。また、特殊勤務手当が支給されている職員はその額により毎月変わります。

すべからく明朗会計でないといけません

 そもそも支払い・領収は明朗でなければなりません。たとえば、電気料金の単価が不明で使用量しか明示されずに請求・徴収されたとすると、過請求・過払いになっていないかどうかチェックできません。時間単価も同じです。
 この時間単価が不明のままでは、時間外手当など賃金が正確に全額支払われているかどうか、労働者には分かりません。

労基法に違反なく互いに気持ちよく

 請求した時間外を削るなどの意図的な不払いは言語道断ですが、時間外や特殊勤務の時間や日数等の見落としなど、ちょっとしたミスを含め過失による計算違いは起こりうるものです。労基法違反など起こさず、お互い気持ちよく働くためにも賃金は明朗会計が必要です。そのためには給与明細に時間単価明示は欠かせません。

昇格基準の改善要求看護師も当面4級へ

要求その2

 賃金改善では、昇格基準の改善をそれぞれの職種に関して要求していますが、重点課題として福祉職俸給表および医療職(三)表に関して追及しています。
 全日赤のモデル賃金では、短大3卒の看護師の初任給格付は、医療職(三)2級9号俸で額は19万8300円です。同じ短大3卒の医療技師は、医療職(二)1級21号俸で額は17万4600円です。看護師の方が初任給は高いですが、40才以降は医療技師の方が高くなります。
 医療技師は1級から始まり5級まで昇格します。一方、看護師は2級から始まって3級止まりです。全日赤は、看護師も5級まで昇格できるようにすべきであると要求しており、当面4級までは直ちに行うよう追及しています。
 4級へ昇格する基準号俸は3級57号とするよう要求しており、要求実現したときの表が左図のとおりです。当面要求では、45才で医療技師を下回りますが、生涯賃金(※簡易的に計算)を比べた場合、医療技師は1億5208万5600円、看護師は1億5452万400円と、看護師の方が高くなります。
 今の看護師モデルでは1億5135万1200円と生涯賃金でも医療技師を下回っていますが、2006年度の給与構造改革以前には生涯賃金が下回ることはなかったことであり、せめて以前の給与体系には直ちに戻すよう要求しているものです。

表

特殊勤務手当の改善(業務に携わったすべての者に支給せよ)

要求その3

 現行の特殊勤務手当には、様々な条件が設けられ同じ業務に携わっていて支給される者と支給されない者に区別されています。
 例えば理学療法士が結核患者のリハビリをしても「結核病棟に配置」されていないので「結核精神病作業手当」は支給されません。また病棟の看護師がレントゲン撮影の患者を、プロテクターを着けて介助しても「放射線作業室に配置」されていないので「放射線作業手当」は支給されません。
 全日赤の追及により「結核病棟」に一般病棟の結核専用病床を含ませたり、放射線作業手当は100マイクロシーベルト被曝した時には支給するなど支給条件を改善させてきましたが、全日赤は「業務に携わった全ての者に対して支給するよう」に要求しています。また血液曝露など危険な業務に対しても特殊勤務手当を支給するよう要求しています。

放射線の被曝管理は適切ですか?
バッジ(検出器)は2個以上着けていますか?

 現行制度においても100マイクロシーベルト以上被曝した場合には手当が支給されますが、被曝したかどうかを判定するため少なくとも法律に則り測定させる必要があります。
 電離放射線障害防止規則第8条第3項には外部被曝の測定部位について定められています。簡単に言うと(1)男性等は胸部・女性は腹部、(2)プロテクターの外にある頭頸部、(3)最も多くさらされる部位(指など)で、プロテクターの内外で被曝量が違う場合は、バッジは2個以上必要です。

特殊勤務手当要求

 現行の特殊勤務手当を、下記業務に携わった者に対して支給することとし、常時対象業務に携わる者には月額で20,000円を、常としない者には1日800円を支給すること。
(1)血液センター、採血、手術、救急外来、患者搬入など、血液に接する可能性の高い業務
(2)結核患者が収容されている区域での業務
(3)精神科病棟および外来において精神病患者に直接接する業務
(4)新興感染症やテロなどによる意図的な感染症に感染した患者が収容されている区域およびそれらの感染症が発生している区域での業務
(5)結核菌その他これに準ずる伝染性の微生物を含む可検物の検査作業およびその補助作業
(6)放射線被爆の恐れのある作業およびその補助作業
(7)零下20度以下の低温室において血漿製剤に関わる業務を30分以上行った場合
(8)死体解剖の介添、解剖後の縫合又は切断四肢等の運搬も含む搬出入業務。この場合の手当額は1体につき5,000円とすること。
(9)便所配管、ポータブルトイレを含む便所掃除、および吸引瓶等の清掃業務
(10)業務上必要な採血車、輸送車等の運転業務。ただし、供給輸送(緊急輸送作業)の場合、1回出動するごとに800円付加すること。
(11)瞬間風速25m以上の台風圏内地域において業務に従事した場合
(12)人工透析業務
(13)浴槽(訓練プール)内において患者の各種訓練の指導・介助業務
(14)ダイオキシンが発生する焼却炉での業務
(15)抗がん剤のミキシング作業


住居手当の世帯主条項を廃止せよ

要求その4

 現行の規定では、「自らの所有にかかる住宅(住宅取得の場合で、割賦金未済その他の理由により登記未終了等の場合も含む)に居住する世帯主である職員」に対して住居手当(持ち家分=取得後10年以内〜月額4500円、取得後10年を超える場合〜同2000円)が支払われます。
 ここで問題となるのが、支給対象が世帯主である職員に限定されていることです。そもそも世帯主とは、「同一生計で同居している人たちの中で,主に生計を支えている人。単身世帯では、その本人」のことを指す住民票上の言葉であり、戸籍筆頭者とも違います。
 これまでの慣習上、夫婦の場合では夫が世帯主となるケースが圧倒的に多く、女性に対して住居手当が支給されないケースが目立っています。
 借家・借間に対する住居手当の額(上限2万8500円)に比べると、持ち家の場合はだいぶ低額ではありますが、年間にすればそれなりの額(2万4000円〜5万4000円)になります。

住宅取得した場合は世帯主にかかわらず手当を支払うべき

 全日赤は、住居手当に関し、「持ち家の世帯主の制限を廃し、4万円を支給すること。
 一部に「住居手当が欲しいのなら、あなたが世帯主になればいい」などという対応を取っている施設も見受けられますが、そもそも、その家庭内においてだれが世帯主となるかは、その家庭が決めることであり、使用者がとやかく言うことではありません。
 性別に関係なく、みな同じように働いているのですから、住宅を取得した場合、例え世帯主でない女性が住居手当を申請しても平等に支払うべきと考えます。まして、医療における共稼ぎの場合、夫より妻の方が収入が多いというケースも多く見られます。世帯主でないという理由で、この手当の対象に最初からならないということは、女性を間接的に排除するものと考えます。
 また、住居手当支払いの請求時に女性職員に対してのみ住民票の提示を求めているケースがあるとしたら、これは明らかに厚労省の告示(労働者に対する性別を理由とする差別の禁止等に関する規定に定める事項に関し事業主が適切に対処するための指針H18・10・11)に反する行為にあたります。
 住宅取得後10年間では、54万円にもなる手当です。全日赤はローン返済の足しにもなるであろうこの手当を、世帯主に関わらず、すべての対象者へ平等に支払うよう強く要求します。

嘱託・臨時・パート職員の介護休暇は有給とすること

要求その5

 全日赤は、今春闘でも嘱託・臨時・パート職員の賃金・労働条件改善をめざして、左記の要求を追及してきました。

介護休暇は直ちに有給化すべき

 この間の交渉で、子の看護休暇に関しては、正職員と同様に嘱託・臨時・パート職員も有給とする(6カ月以上雇用者)一定の前進をさせました。介護休暇もこれと同様の休暇です。正職員との格差是正・均等待遇の面からも、1日も早く有給化すべきと考えます。
 また、正職員化にあたっては、従来の勤務期間を今後の正職員としての勤務期間に通算して退職金を計算することも重点的に要求しています。
 嘱託・臨時・パート職員の賃金等については、「所属長が当該地方の事情等を参酌して定める」ことになっています。全日赤は、本社の「嘱託・臨時・パート職員就業規則参考例」の不備を追及し、各施設での要求実現をめざす運動と連動した取り組みを強化します。

嘱託・臨時・パート職員の要求項目

1、1年を超えて反復し継続する業務に従事する労働者は、すべて正規職員として雇用すること。その際に勤務年数を正規職員の勤務年数に加算し退職金等の勤務年数とすること。また契約期間満了を理由とした一方的な雇用の打ち切りは行わないこと。
2、嘱託・臨時・パート職員の雇用は真にやむを得ない場合に限ること。この場合の賃金や一時金および労働条件は正規職員に準じて取り扱うこと。特に下記の項目については早急に実施すること。
(1) 住宅手当を支給すること。
(2) 扶養手当を支給すること。
(3) 地域手当および寒冷地手当を支給する こと。
(4) 一時金および退職金については、正規 職員と同様の計算方法により支給する こと。
3、嘱託・臨時・パート職員にも、介護休暇および夏期休暇、年末年始休暇など特別有給休暇を正職員と同様に与えること。また子の看護休暇については、引き続き雇用された期間が6ヵ月に満たない者も対象とすること。
4、嘱託・臨時・パート職員の賃金および労働条件の最低基準を全日赤本部・本社間で交渉により決定すること。
(1) 全施設がこの最低基準をもとに、施設 労使間で自主的に交渉・決定すること。
(2) 本社は、施設長への統制や施設労使間 交渉に介入しないこと。


待機手当の実現を早急に

要求その6

 いま特に救急指定病院では、人員不足のなか急患に対応するため当直以外に待機体制をとることが常態となっています。待機を命ぜられた職員は、ゆっくり食事をとることも入浴することもできず、緊張が強いられています。
 全日赤は、日勤と合わせ24時間拘束することになる「拘束(待機)制度」は原則として廃止し、急患に対応するためやむを得ない場合のみとし、本来は勤務で対応するべきですが、当面、待機を命じた場合には宿日直と同様の手当を支払うことを要求しています。そこで、同業他社がどのような取り扱いをしているか見てみると…。

労災病院や国立病院機構等では制度化

全労災

 1983年に緊急医療に対応するための待機勤務を協定。所定の労働時間以外に待機勤務をした人に勤務の回数に次の一回当たりの額を乗じた額が翌月の給与支給日に支給される。また、待機中に呼び出されたときの交通費は通勤手当1日分相当額支給することや通勤途上災害についても明確にしている。
支給額:医師5800円、医師以外2900円(半日直に相当する待機勤務についてはそれぞれ半額支給)

国共病組

 国家公務員共済組合連合会病院では、「看護師その他救急医療を実施するに当たり、病院長が必要と認める者が自宅等において急患、手術又は助産のために待機を命ぜられた場合は、待機料を支給する(給与暫定規定第26条第2項)」「待機料は、原則として、宿直勤務及び日直勤務の時間の例に準じて支給するものとする(宿日直手当支給要項第6条)」としている。
支給額:看護師その他病院長が別に定める者3870円以内

全医労

 国立病院機構は、平成20年4月より、救急呼出に備えて自宅等において待機を行った職員に対し、救急呼出待機手当を新設した。全医労が長年要求、交渉し実現したもの。
支給額:医療職基本給表(一) 1回5000円、医療職基本給表(二)、(三) 1回2000円
(待機時間《呼出により勤務した時間含む》が5時間未満の場合は半額)

 以上、労働者健康福祉機構や国家公務員共済組合連合会病院、国立病院機構等では待機手当をきちんと制度化しています。日赤においても早急に実施するべきです。

このページのトップへ戻る

Copyright(c)2006 全日本赤十字労働組合連合会 All rights reserved.